SCSKは年収3000万円で募集、IT業界の高度人材争奪戦が止まらない

  • 5
  • 12

SCSKは、年収3000万円を提示できる高度IT人材の募集を始める。既存の枠組みを超える優れた人材を「ADV職掌」として定義し、2020年度中に社内外の数人が対象となる見込み。新たな人事制度の導入により、人工知能(AI)やビッグデータ(大量データ)分析などデジタル変革(DX)に不可欠な人材の確保につなげる。

ADV職掌に提示する年収は3000万程度を目安とするが、人材によってはそれ以上の報酬も検討する。現段階で対象者は決まっておらず、今後、IT技術者を中心に社内外へ公募する。応募には特定の資格や技術を有する必要はなく、社内や業界全体への影響力と、高い技術力を持ち合わせた人物であるかが判断基準となる。

ADV職掌は今月導入した人事制度の一環。入社1―4年目の社員は「総合職掌」として、さまざまな能力の育成に特化したプログラムに取り組む。入社5年目以降は「基幹職掌」となるが、経営・マネジメントを担う人材は「GM職掌」、高度人材は「ADV職掌」として個別に評価する。従来は人事の階級が1段階上がるのに最低3年必要だったが、1年に短縮する。

デジタル変革(DX)の進展と共に、高度IT人材の争奪戦が激化している。和南城由修人事部長は「新型コロナウイルス感染症でITの重要性は高まったが、人材獲得については逼迫(ひっぱく)した状態が続く。魅力的な人に来てもらい、社員が安心して働ける環境作りを進めないと、人材が流出するという強い危機感を持っている」と、新人事制度導入の意義を語る。

IT業界では、NTTデータが18年末から市場価値に応じた報酬で採用する「ADP制度」を導入。ビッグデータ処理基盤に精通する技術者などを中心に現時点で計7人に適用した。NTTコミュニケーションズは最高技術責任者(CTO)級を対象に年俸3000万円超も可能な人事制度を19年に始めた。富士通は職務上の役割に応じて報酬が決まる「ジョブ型制度」を19年度に導入。年功序列ではなく、能力に応じた待遇で人材を確保する動きが広がっている。

日刊工業新聞2020年7月22日

関連する記事はこちら

特集