東南アジアの渋滞緩和に照準、スマートドライブがモビリティデータ活用で海外へ
現法設立 交通課題解決に商機
スマートドライブ(東京都千代田区、北川烈社長)が、東南アジアでモビリティーデータを活用した事業展開を加速している。2020年1月に初めて海外法人をマレーシアに設立し、日系企業と交通安全サービスの協業を始めた。21年春には日本工営とインドネシアで、交通データを活用した渋滞緩和向けの実証実験も予定する。東南アジアでの自動車の普及拡大に合わせ、モビリティーサービスの拡大につなげたい考えだ。(鎌田正雄)
スマートドライブは2013年に設立されたモビリティーサービスの企業だ。車両のデータを収集、解析し、オープンなプラットフォーム(基盤)を構築してさまざまな付加価値サービスを生み出す事業を展開している。収集したデータを基にした車両管理サービスなどを展開。すでに500社が同社のサービスを導入している。
一方で、プラットフォームをさまざまな企業に提供して、共同でサービスを作るビジネスモデルも構築している。北川社長は「プラットフォームをハブにさまざまなサービス同士がつながり、(データやサービスの)掛け合わせが無限にできる」と説明する。
同社が、ビジネスの成長市場として注目しているのが東南アジアだ。東南アジアでは交通事故や渋滞などが大きな社会課題。グローバル事業の責任者である菅谷俊雄執行役員は「自動車の普及率が低い国が多い。経済が発展するにつれ、保有台数の増加も予想され大きなポテンシャルがある」と指摘する。交通課題の解決に向けたニーズと自動車市場の拡大により、ビジネスチャンスがあるとみる。
同社は20年1月にマレーシアで現地法人を設立し、事業展開を始めた。BツーBツーCサービスとして、安全運転するとポイントを付与し、クーポンなどと交換できる「スマートドライブ・カーズ」などを実施している。
2輪車や車での通勤時などに「混雑していないルートを通るとポイント付与」などを設定でき、楽しみながら運転時の安全意識を向上させ、交通量の分散や事故の削減などに寄与する。福利厚生やモチベーションアップによる従業員の満足度向上を目的に、導入を検討する企業も多い。
当初は日系企業を中心にサービスを提供しているが、現地企業への提供や協業も模索する。既存サービスをベースに、現地仕様に合わせたサービスの開発に着手している。
また今春、インドネシア・マカッサル市で日本工営と共同で、交通データを活用した渋滞緩和に向けた実証実験を始める。交通データを収集・分析して交通状況の可視化と渋滞を緩和するルート選定を行う。22年の事業開始を目指す。
今後、東南アジア全体でモビリティーサービスを展開する考え。「6―7年後に東南アジア諸国連合(ASEAN)の人口の約1割にあたる、6000万人のサービス利用者の獲得を目指す」(菅谷執行役員)と意気込む。