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“国産ワクチン”実用化なるか?KMバイオが3例目の臨床試験へ

世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国内でも11都府県で緊急事態宣言が発出されるなど、感染拡大が深刻の度合いを増している。欧米では新型コロナワクチンの接種が始まっており、感染拡大の抑制に向けた取り組みが、新たなフェーズに入った。日本でもワクチン接種に向けた準備が進むが、ワクチン接種の浸透を図るには、開発が進む“国産ワクチン”の実用化が欠かせない。(安川結野)

国内3例目

KMバイオロジクス(熊本市北区)は、新型コロナのワクチンについて、感染力を失ったウイルスを使った「不活化ワクチン」の第1/2相臨床試験を3月にも始める。月内に試験の実施届けを提出する計画で、国内のワクチンとしてはアンジェスと塩野義製薬に続き3例目の臨床試験となる。KMバイオロジクスが取り組む不活化ワクチンは、病原性のあるウイルスを基に開発・製造する。実用例が多く、効果や副反応の知見が多い点がメリットだ。ただ、安全性の評価に時間を要し、高い管理基準の施設も必要だ。KMバイオロジクスの永里敏秋社長は「不活化ワクチンは、インフルエンザや日本脳炎などで実績がある。接種を受ける側の安心感につながる」と説明する。

mRNA活用

一方、現在世界で接種が進む米ファイザーと独バイオ企業のビオンテックのワクチンは、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を活用する。ウイルスの外側にあるスパイクたんぱくをヒトの細胞内で発現して抗体を作る仕組みで、病原性を持つウイルスを使わず早期に開発できる。

mRNAなど早期開発を可能にするモダリティ(創薬手法)のワクチン開発が先行した背景には、新型コロナの爆発的な感染拡大がある。急増する重症者や医療機関の逼迫(ひっぱく)の解決のためには、早期にワクチンを実用化する必要があった。

ファイザーとビオンテックのワクチンは試験で高い有効性が示され、また日本でも承認申請が行われるなど成果が期待される。接種に向けた準備が進み実用化も間近だが、一方では新たなワクチンに不安を抱く声も少なくない。

敏感な国民性

KMバイオロジクス永里社長はmRNAワクチンについて「技術進歩で有効性を示す結果になったことは高く評価できる」とした上で、「日本人はワクチンの作用に敏感な国民性。特に副反応に対して注意深い」と話す。

日本人になじみがある不活化ワクチンの実用化で、接種を受ける側の選択肢が広がる意義は大きい。より多くの人へワクチン接種を進めるには、安全性や有効性を示すことに加え、安心感も重要な要素だ。ただ、ワクチンは程度の差はあっても副反応のリスクはつきまとう。欧米製も日本製も副反応についての情報を明確に開示することが接種を浸透させる大前提になる。

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