【独自調査】21年中に業績回復は困難…大手企業100社アンケートを分析
新型コロナウイルス感染症が流行する以前の業績水準(売上高)に戻るのは2022年以降―。大手企業はコロナ禍の収束時期を見通せない中、少なくとも21年中にコロナ前の業績に戻すのは困難とみている。欧米などでコロナワクチンの接種が行われているものの、世界的な感染拡大が続く。日本では1都3県で緊急事態宣言が検討されるなど、大手企業の経営者は視界不良な新年を迎えた。
日刊工業新聞社は20年11月から12月にかけて大手経営者100人、中堅・中小経営者100人の計200人を対象に景気定点観測調査を行い、4日付の本紙1面に結果を掲載した。今回のアンケートでは「番外編」としてコロナ問題に特化した質問も行っており、その部分にフォーカスして検証する。
大手経営者100人には3項目を質問した。コロナ前の業績水準に戻る時期は「22年以降」が39%と最も多く、次いで「その他・無回答」の26%、「わからない」の16%が続く。21年中の戻りを期待できないとの慎重な見方が多いほか、42%が戻る時期自体を見通せなかったり何らかの理由で回答を留保した。4番目に多い回答は「21年7―9月」の8%だった。
また、20年12月の業績予測を19年12月実績と比べた場合の回復度合いを尋ねたところ、「75%以上―100%未満」との回答が全体の40%を占めた。「100%以上」は6%、「50%以上―75%未満」「50%未満」も合わせて7%と比率は高くない。注目されるのは「その他・無回答」が最も多い47%に達した点だ。アンケート回答時、視界不良の12月の予測に慎重姿勢だったことがうかがえる。
新型コロナ感染対策として、21年以降も取り組む施策(複数回答)については、「在宅勤務(テレワークなどを含む)」が97人と最も多く、次いで「オンライン会議の採用」が96人、「時差出勤」が89人、「海外渡航の禁止・自粛」60人、「社外関係者との会食等々の禁止・自粛」53人、「国内出張の禁止・自粛」43人、「マスクの配布」28人、「その他・無回答」5人、「週休3日制(検討を含む)」4人という結果になった。
日本政府は「GoToトラベル」を全国一斉に停止しているほか、外国人の新規入国も1月末まで原則禁止している。今後は国内でのコロナワクチンの接種などにより、感染がどこまで収束していくかが焦点だが、足元は深刻化する感染拡大を受けて、緊急事態宣言さえ検討されている状況だ。