日本トムソンが「直動案内機器」を増産!半導体の好調と医療機器向け需要が後押し
日本トムソンは直動案内機器を増産する。当面の目安として2020年7―9月期に比べ生産量を少なくとも3―4割引き上げ、さらなる増加も視野に入れる。半導体製造装置や医療機器向けの受注が増加傾向にあり、これに対応する。また、機械要素部品のニードルベアリング関連も21年1月以降工場の稼働率を引き上げる。過去最高を予想する半導体市場の好調ぶりが、部品供給メーカーにも波及している。
日本トムソンは軌道と4点で接触する鋼球を2条列に配置した「リニアウェイL(LWL)」や、4条列の円筒ころをパラレルに配置する「リニアローラウェイスーパーXシリーズ(LRX)」、2本の軌道台の間に円筒ころを組み込んだ「クロスローラウェイ(CRW)」の三つを中心に増産する。半導体製造装置をはじめ、遺伝子・血液分析装置やPCR検査装置など新型コロナウイルス感染症に関係する医療機器向け需要に対応する。
エレクトロニクス関連機器の中でも、半導体製造の後工程にあるマウンター(表面実装機)向けの需要が急速に拡大している。供給地別では中国や東南アジアでニーズが増えている。
日本トムソンの直動案内機器はベトナム第1・第2工場(ハイフォン)や岐阜製作所(岐阜県美濃市)で生産している。20年3月期に製造能力を増強し、ニードルベアリングと直動案内機器を含めて売上高700億円を実現する体制は整えた。
ただその後、米中貿易摩擦や新型コロナの影響が拡大。直近のピークである18年7―9月期に比べて、20年7―9月期は約6割程度まで生産が落ちた。コロナ禍の影響で依然として工作機械向けなどは厳しさが残るが、半導体や医療向けが業績を底上げしている形だ。
日刊工業新聞2021年1月13日