半導体のEUV露光で高まる日本メーカーの存在感、普及はどこまで進む?

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微細化追求 見極め重要

半導体回路の微細化で欠かせない「極端紫外線(EUV)露光」の周辺工程で、日本の装置メーカーの存在感が増している。最も重要な露光装置は蘭ASMLが市場を独占するものの、検査や感光剤の塗布・現像など周辺装置分野では日本勢が高いシェアを持つ。ただ先端のEUV関連装置は高額で、半導体メーカーにとって投資負担が大きい。長期的には、どこまでEUVの導入拡大が続くのか不透明な面もある。(張谷京子)

EUV対応の検査装置を手がけるレーザーテックは、7―9月期の半導体関連装置の受注高が前年同期比2・6倍に増加。需要増に応じ、現在は生産を委託する取引先企業を複数社増やしている。

特に需要が高まっているのが、光源にEUVを使ったEUV露光用フォトマスク(半導体回路の原版)の欠陥検査装置で、同社が100%のシェアを持つ。従来EUV露光用マスクの検査では、主に光源に深紫外線(DUV)光を用いてきたが、EUV光の方がDUV光より波長が短く、欠陥の検出感度が高い。現在最先端の回路線幅5ナノメートル(ナノは10億分の1)ではDUV光でも対応可能というが、同社の三沢祐太朗経営企画室長は「(微細化が進み)2ナノメートル水準になってくると、DUVだと感度が足りなくなるだろう」と指摘。光源にEUVを使った検査装置のさらなる需要増に期待を示す。

東京エレクトロンは、EUV向けコータ・デベロッパ(塗布現像装置)でシェア100%。河合利樹社長は、EUVの導入で工程全般で技術革新が進めば、「(EUVに直接関連していない分野での)工程数も増える。また(各装置の)性能向上が進む」と分析する。成膜装置やエッチング装置などの工程への波及効果を見込む。

第5世代通信(5G)の普及を追い風に半導体の微細化ニーズは一層高まっており、半導体メーカーはEUV導入を加速している。ファウンドリー(半導体受託製造)大手の台湾TSMCはEUVを活用して、20年春に回路線幅5ナノメートルの量産を始めたほか、2022年には3ナノメートルの量産も開始予定。韓国サムスン電子も5ナノメートルを量産する。またEUVは、これまでのロジックICに加え、DRAMへも適用が今後進むと見られており、導入拡大が期待できる。

ただ、不安材料も残る。最先端のEUV露光装置は1台200億円以上とされ、周辺装置も高額化する。微細化が進むにつれ、できあがった半導体の適性売価を原価が上回る事態も想定される。日立ハイテクの石和太専務執行役員は「(微細化の)技術限界よりも、経済合理性の限界が先にくるだろう」と予想する。複数の半導体チップを縦に積む「立体化」など、微細化以外の方法で半導体の性能を高めようとする動きも広がる。EUVを活用した微細化追求がいつまで続くのかを見極める眼力も、日本の周辺装置メーカーには求められる。


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日刊工業新聞2021年1月7日

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