品質問題が尾を引くデンソー、「全社を挙げて徹底的に」有馬社長の覚悟

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デンソー社長・有馬浩二氏
―コロナ禍に加え、品質問題が尾を引いています。

「品質は我々の基盤だが、『意識・知識・風土』の三つが成立して初めて担保できると認識しており、この1年ほどで相当な対策をしてきた。もっと顧客を見ること、技術が確かなのかを見極められる技術基盤の底上げ、都合の悪い情報がきちんと上がってくる風通しの良い会社作り―を、全社を挙げて徹底的に行っている」

―具体的な内容は。

「品質では職場ごとに専任リーダーを選出し、開発から生産までのプロセスで課題を洗い出し、タスクフォースチームを組んで解決に当たっている。デジタル化といったテーマについても同様に進めている」

―品質の立て直しや体質強化を目標とした、2021年度までの変革プラン「リボーン21」も始めました。

「事業環境の変化のスピードも速く、生まれ変わらねば生き残れない。コロナ禍を転機とできるかが将来を決めると感じており、意識改革からスタートすべく立ち上げた。デンソーのコア(中核)とは何か、それを実行するための組織能力や戦略を見つめ直して進化、強化する。仕事のやり方から改革する」

―カーボンニュートラルへの取り組みは。

「工場や製品そのものも含め、35年までに全社の二酸化炭素(CO2)排出ゼロを目指す。クリーンエネルギーの利用や排出エネルギーの利活用など、実現に必要な項目を1日でも早く技術などの何らかの形で創出し、顧客をはじめ環境問題の解消に役立ててもらうことが我々の使命ではないか」

―市場環境の不透明さが続きます。

「グローバルの生産はビフォーコロナほどの回復は見込めないだろうが、そこに近づくのでは。ただ各地で状況は異なり、おそらく地域差がある。波があることを前提に一喜一憂せず、全面回復にならなくてもしっかり経営できる状態にする」

―生産体制の見直しの必要性は。

「事業継続計画(BCP)をより強化する必要はあるだろう。集中生産の仕方や在庫の持ち方など、グローバルのサプライチェーンのあり方を、もう一段引き上げたい」

【記者の目/変革プランの成否カギ】

25年度に売上高7兆円、営業利益率10%を掲げる長期構想に向け着実に業績を伸ばしていた所で、大きなストップがかかった。トヨタ自動車グループで、デンソーには電動化や自動運転に不可欠な半導体やソフトウエア分野でのけん引役が求められている。この先も次世代投資の増加が避けられない中、強い経営基盤を作れるかは変革プランの成否にかかる。(名古屋・政年佐貴恵)

日刊工業新聞2021年1月13日

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