これで安全!?自工会が自動運転の安全指標公開
日本自動車工業会(自工会)は、自動運転の安全性評価のためのガイドラインを策定した。一定の条件下で自動運転が可能な「レベル3」を対象に、他車の割り込みや急ブレーキといった状況ごとに、周辺環境の認識や動作判断などの安全性評価手法を網羅的に体系立てた。30日に自工会のホームページで公開する。ガイドラインを元に国際的な周知を進め、安全性についての国際基準や、自動運転技術の国際標準化につなげたい考えだ。
認識、判断、動作という自動運転の一連の流れに沿って、安全性を担保するための評価基準の根拠や、技術の原理原則に基づいた性能評価手法をまとめた。例えばレーダーや「LiDAR(ライダー)」といったセンサーでは、死角のような技術的課題も含めてそれぞれの特徴を洗い出し、その上で自動運転に必要なデータや評価方法を設定した。
トヨタ自動車やホンダなどの自動車メーカーだけでなく、デンソーなどのサプライヤー企業も参画するワーキンググループ(WG)を2018年に立ち上げ、ガイドラインを作成した。自動車メーカーや部品メーカー、実証シミュレーターを手がけるIT企業など、自動運転を開発する各社が安全性を評価、検証する際の共通基盤として活用することを想定する。
自動運転は運転の主体が人からシステムに移るため、安全性を担保するための根拠を明確にする必要がある。しかし現状は各社がそれぞれで実施する走行試験に基づいており、安全性自体を定義し体系立てたものはなかった。6月に国際連合でレベル3の安全基準が成立するなど、世界的に議論が深まりつつあり「これからの国際基準、国際標準に日本の考え方を盛り込みたい」(自工会安全性評価WGの谷口悟史主査)。限定区域で無人自動運転が可能なレベル4や、完全自動のレベル5も見据え、順次更新していく。