デンソーなどが開発したリンゴと梨を人とほぼ同じスピードで収穫するロボット
デンソーと農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、立命館大学は23日、リンゴ、ニホンナシ、セイヨウナシの収穫ロボットを開発したと発表した。収穫しやすいようにV字型にした果樹が対象で、自動走行車両でけん引しながら画像で熟し具合を判別し収穫する。人の年間作業時間を半減できる。実証試験を進め、2年後の製品化を目指す。
2個のカメラを搭載したアーム計2本と、果実の収納コンテナシステムなどで構成する。コストを抑えるため、既存部品の利用や部品の共通化などを工夫した。ディープラーニング(深層学習)技術を活用し、カメラで果実を認識すると自動で停止し収穫する。ニホンナシは果実を認識後、底部の色から熟し具合を判別し、完熟期の果実のみを収穫する。認識や熟度判断の精度は95%以上だという。
収穫量は1時間当たり300個と、人とほぼ同等。果実は収穫箱に自動収納し、空コンテナの交換も自動で行い収穫を続けられる。現状は監視者が必要だが、将来は遠隔監視の可能性も検討する。
農研機構果樹茶業研究部門の草塲新之助領域長は「人手が減る中での産出量維持に向け省力化を目指す」と、実用化に期待を込めた。
日刊工業新聞2020年12月24日