リチウム電池の新外装構造を開発、ラミネートより最大100℃耐熱性向上

エナックスが開発

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エナックスが開発した新規電池構造(イメージ)

エナックス(東京都文京区、三枝雅貴社長)は、リチウムイオン電池セルで新しい外装構造を開発した。ラミネート(パウチ)形状をベースに、包材にステンレスやニッケルメッキ鋼板を使用。ラミネートタイプより50度―100度Cの耐熱性能向上を確保でき、電極に適切な加圧をしやすくなった。電動化で需要が高まる車載用電池をはじめ、研究が進む全固体電池の外装構造として2021年に市場開拓に着手。年間数億円規模の売り上げを目指す。

リチウムイオン電池セルの形状は角形、円筒形、ラミネート形に大別される。包材は主に角形と円筒形は金属缶を使い、ラミネート形はアルミラミネートを使う。

開発した外装構造は形状はラミネート形をベースに、包材はステンレスやニッケルメッキ鋼板を使用する“第三の構造”で、金属缶タイプとラミネートタイプの外装の利点を両立させた。従来のアルミラミネートよりも電池外装の耐熱が高くなる。さらに包材が金属薄板のため電極間に高い加圧を掛けられる。

外装の4辺は金属溶接して封止強度を高めた。電池から電気を取り出すリード線「タブリード」は電池の内と外に設けてリベットで導通させることで、封止の長期信頼性も高めた。

高い加圧をできる利点を訴求して、膨張率が高いシリコン系負極や全固体電解質などの新規材料を使った電池への展開を狙っていく。

電池容量を高められるシリコン系負極電池には膨張収縮を加圧で抑制できる。シリコン割合を従来の30%から約80%にまで引き上げることができ、1キログラム当たりのエネルギー密度300ワット時の実現や従来電池よりも2倍以上にサイクル寿命が期待できる。

電気自動車(EV)などの車載用電池として研究が進む硫化物系全固体電池への応用も目指す。固体電解質の実用化に重要な水分対策と高い加圧が担保できる。

エナックスはリチウムイオン電池の開発から試作受託、製造、販売まで手がける。自動車メーカーや鉄道会社などが顧客で、20年3月期の売上高は約21億円。

日刊工業新聞2021年1月13日

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