鋼材・アルミの生産は「自動車向け中心に上向く」。神戸製鋼所社長の見立て

山口貢氏に聞く

  • 0
  • 0
薄板製品(神戸製鋼所公式サイトより)

―2021年の需要をどうみていますか。

「鋼材、アルミニウムの生産はともに、車向け中心に上向くと思う。造船や建築は回復が遅く、航空機も時間がかかるだろう。当社の建設機械への需要は中国で急回復しているが、現地メーカーとの競争で収益性が課題だ」

「コロナもあって社会が大きく変化しているが、当社グループには多様な事業や人材、顧客情報がある。それらを融合、掛け合わせることでさまざまなニーズに最適な提案をしていきたい。22年3月期には何としても黒字化を実現したい」

―鉄鋼部門はコロナ影響でも高炉を一時休止しませんでした。

「人口減や顧客の海外展開などを見越し、17年度に加古川製鉄所(兵庫県加古川市)へ集約した。減産には出銑比調整で対応した。粗鋼生産が年600万―700万トンと限られる中で損益分岐点を下げ、特殊鋼棒線、ハイテン(高張力鋼板)に特化するなど品種の構成を改善している」

―21年度からの新中期経営計画の焦点は。

「加古川集約の効果は出ているが、減産から変動費、固定費が高止まりしており、再度メスを入れる。一方で付加価値に見合う価格を実現すべく、顧客に値上げへの理解を求めている。アルミ事業は車の軽量化に対応し、戦略投資をしてきた」

「全般的には事業ポートフォリオを改めて見直す。収益性や市場占有率などの現状を踏まえ、投下資本利益率(ROIC)などを管理指標に使い、当該の事業を自社でやるのが良いか、他社との提携でやるか、撤退するかなどの対応を決める」

―50年に向けたカーボンニュートラル(温室効果ガスの実質ゼロ)の取り組みは。

「13年度と比較して30年度の二酸化炭素(CO2)排出削減目標を提示したが、50年の脱炭素については現時点では軽々には言えない。(実現の決め手となる)水素還元製鉄は技術ハードルが高くコストも相当かかる。個社だけで対応できず国の支援が必要だ。一方、直接還元鉄プラントを扱う100%子会社、米ミドレックス・テクノロジーズは競争力ある事業で、連携を強めていきたい」

*取材はオンラインで実施。写真は別途、撮影

記者の目/事業融合、実行・検証に注目

神戸製鋼所は他の鉄鋼大手と異なり、建機や溶接などの事業を持つ。20年4月には鉄鋼とアルミ・銅の両部門をまたぐ組織改編を行ったが、コロナ禍により効果は道半ばだ。感染の収束が見通せない中で、どのように挑戦を続けていくのか。まずは、山口貢社長が強調する「事業融合の実行と不断の検証」に注目したい。(編集委員・山中久仁昭)

神戸製鋼所社長 山口貢氏

キーワード
神戸製鋼所

関連する記事はこちら

特集