RPAソフト、一般社員が開発する神戸製鋼所の狙い
神戸製鋼所はRPA(ソフトウエア型のロボットによる業務自動化)で、一般社員によるソフト開発を推進する。IT企画部や関連会社のシステム・エンジニア(SE)による開発と並行して展開し、自身の業務の改善につなげる。一般社員の開発研修を四半期に1回ペースで行い、2020年度には30人以上育成する。11月には一般社員による開発ソフト第1号が誕生し、運用される見通しだ。
神戸製鋼所は2017年からRPAを導入し、グループ企業含めて現在350台のロボットが稼働している。ソフトは従来、SEが開発してきたが、蓄積してきた知見や経験が生かせるようにする。
ロボットに置き換える業務は、担当する社員が熟知しており、自身がソフトを開発するのが効果的と判断した。細かな単純業務まで自動化でき、自身は創造性の高い仕事に移行可能。開発費は、SEが行うより大幅に低減できるメリットがある。
20年後半から実施している「EUC(エンドユーザー・コンピューティング)研修」は、1回(2日間)に8人ずつ受講できる。リモート参加も可能。実際の開発にあたっては、RPAプラットフォーム「Uipath(ユーアイパス)」を活用していく。
RPAの対象は、オフィス、製造現場双方の経理・財務系の繰り返しの入力作業や、日常の稼働状況、操業報告や表計算など。光学式文字読み取り装置(OCR)などとの連動も容易だという。
神鋼によると、RPAによる月当たりの業務削減時間は積み上げの累計で約2680時間に及ぶ。工場では、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)、長府製造所(山口県下関市)などの財務・経理業務で展開。オフィスでは、東京、神戸の両本社などで、工場から届いた稼働データを集計し、加工後にまとめてシステムにアップロードするなどしている。
日刊工業新聞2020年10月23日