川重が産業用ロボットで医療分野開拓へ、PCR検査システムの潜在力

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自動PCR検査ロボットシステム

川崎重工業が産業用ロボットを新分野に適用する取り組みを加速している。2021年中にもロボットを活用したPCR検査システムや、コンテナからの荷下ろしや荷積みを自動化する「Vambo(バンボ)」の提供を始める。20年11月に発表した「グループビジョン2030」では造船や車両、航空機など他のカンパニーとの連携も加速する。執行役員の髙木登ロボットディビジョン長に戦略を聞いた。

―新型コロナウイルス感染症の影響で自動車向けロボットの需要が低迷していました。

「車体の組み立てはあまり影響を受けていないが、塗装関係はプロジェクトが軒並み後ろ倒しになった。ただ、直近では塗装でも動き始めている」

―21年は半導体製造装置市場が過去最高になる見込みです。

「予感はある。半導体は19年度の後半から好調を維持する。21年は多くのメーカーが過去最高の販売額を予想する。半導体市場の伸びに伴い、ロボットもさらなる受注が期待できる」

―医療用ロボットに力を入れています。

「PCR検査システムの開発を始めてから医療分野のニーズが見えてきた。21年から本格的な運用に向けて顧客と試験に入る。ロボットディビジョンでは、システムの開発をしている。シスメックスや政府、航空関連企業だけでなく社内のカンパニーと連携し、急速に事業を立ち上げる」

―PCR検査システムも産ロボを活用しています。増産は。

「汎用の小型産業用ロボットを活用している。現状では十分な生産台数は確保している。顧客との実績が出た時点で本当の評価やニーズが出てくるため、増産の準備はするが増やす数量は未定だ」

―30年に向け社内連携を加速します。

「ロボットの活用は肝になっている。プロジェクト自体は本社の推進室が行うが、ロボットディビジョンでも『商品企画総括部』を20年10月に設置し、企画という上流部分を強化する。事業はプロダクトアウトではなくマーケットインで展開する必要がある」

―21年の見通しは。

「希望的観測ではあるがV字回復すると見込んでいる。自動車や半導体、一般産機向けは復活する。これにPCR検査システムや手術支援ロボットなど医療向けを始めとした新ビジネスを上乗せする」

川崎重工業執行役員 ロボットディビジョン長・髙木登氏
【記者の目/売り上げ・利益確保へ新展開】

新型コロナウイルス感染症の影響がなくなるのは、22年になるとの見方もある。21年では市場環境は完全には復調しない可能性もあるが、川重では新分野を開拓し、売り上げや利益確保への準備を進める。医療分野への展開は試金石の一つ。まずはPCR検査システムの事業を早期に立ち上げ、どれだけ伸ばせるかが注目される。(川口拓洋)

日刊工業新聞2021年1月6日

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