2輪に鉄道も分社、構造改革に踏み切る川重社長の成長戦略

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川崎重工業社長 橋本康彦氏

機械業界が新型コロナウイルス感染症で浮き彫りになった課題に挑む1年が始まった。デジタル変革(DX)やニューノーマル(新常態)に伴う働き方改革、二酸化炭素(CO2)の排出を減らす「脱炭素化」の加速などを踏まえ、成長戦略を練り直す必要がある。巻き返しを狙う各社のトップに今後の方針を聞く。初回は川崎重工業の橋本康彦社長。

―2輪車事業を10月に分社化します。

「我々はBツーB(企業間)の事業が中心で、2輪車が消費者向け事業であることを考え、分社を通じて経営の機動性と自由度を高める。業界内で他社と連携しやすい環境を整えるのが大事だ」

―2輪車の環境対応は。

「大型バイクには性能と環境規制を両立するハイブリッドが適していると考えている。一方、電動バイクも加速性に優れている。バイクの愛好者にはハイブリッドの方が先に受け入れてもらえるだろう」

―2輪車とともに分社する鉄道車両事業は立て直しを進めてきました。

「運行システムや保守など、さまざまなニーズへの対応が求められている。車両市場に期待できるからこそ、分社を通じて(収益を)伸ばしやすくする体制を整備する」

―産業用ロボットを軸に収益力を高めることを目指しています。

「2021年度もロボットの需要を見込める。半導体分野が引き続き好調で、地域では中国市場が動いている。自動化への意欲が全体的に高い」

―コロナ禍の新常態に対応するためのロボットの活用も見込めます。

「ロボット技術はリモート(遠隔)の仕組みを整えるのに役立つ。作業効率が大幅に改善するとともに、作業者の負担軽減にもつながる。新型コロナの感染拡大が続く状況でも工場を稼働できる。またヘルスケアなど、社会的ニーズが高まる分野にもロボットを提供する」

―今後10年間の経営方針を策定しました。

「『安全安心リモート社会』などの三つのテーマに重点的に投資する。水素を活用する動きも広がり、我々が目指している水素サプライチェーン(供給網)の使命も大きいと感じている。水素やロボットは求められている技術で、(事業拡大は)時間との闘いでもある。しかし、航空機分野は厳しい状況が続くので、設備投資の圧縮などが必要だ」

【記者の目/スピード感重視の構造改革】

川重は21年に構造改革に踏み切る。4月に船舶海洋とエネルギー・環境プラントの両事業を統合し、10月に2輪車と鉄道車両をそれぞれ分社化する。経営のスピード感を重視する橋本社長の意向が強く表れた体制に刷新する。コロナ禍で激変した経営環境で、改革の成果を業績回復という形で示すことが求められる。(孝志勇輔)

日刊工業新聞2021年1月5日

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