67万時間の業務自動化! 三井住友海上のRPA成功のカギは“二刀流”

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オフィスで社員とともにRPA製品が黙々と作業を続けている

三井住友海上火災保険は、RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)によって67万時間という驚異的な業務自動化を実現している。同社は定型的な事務作業の9割を2021年中に自動化する計画があり、RPAの活用も目標達成に必要な手段に位置付けている。ただ、RPAの本格導入は18年からと意外にも歴史は浅い。短期間にめざましい成果を上げた背景にあるのが“二刀流”だ。

三井住友海上はRPAの概念としてエクセル上のプログラム「VBA」も含んでいる。VBAによる「ワンクリックツール」の活用は07年に始まった。デジタル戦略部の栗原光自郎業務プロセス改革チーム長は「パソコン上の業務を自動化することに慣れた風土がある」と語る。RPAとワンクリックツールは所管部が異なり案件ごとに使い分けている。

純粋なRPA製品が効果を発揮するのが、自然災害対応だ。事故対応から保険金請求書類の送付登録の一部にRPAを導入。本来は45人程度の要員が必要な業務をRPAにより4人で運営でき、大規模災害時でも迅速な保険金支払いに応じる。

RPAをはじめデジタル変革(DX)を推進する新たな制度も開始。19年に営業や損害サポートといった第一線に立つ社員の中から「デジタルアンバサダー」を全国のブロック本部から約60人選んだ。自動化に役立つソリューションの知識や業務フローの組み立てに関する育成プログラムを受け、20年度から“現場視点”を生かした非効率業務の洗い出しを本格的に開始した。

デジタルアンバサダーがいる19本部中16本部で開発段階に移るロボットが決定。約3万時間の業務効率化が見込める。デジタル戦略部の徳永加奈子課長代理は「本社だけでなく第一線の社員も主体的に効率化をけん引してほしい」と期待する。

RPA製品は21年度末までに現状より約30多い100ロボットに拡大予定で、今後もワンクリックツールとの二刀流で突き進む。(増重直樹)

日刊工業新聞2021年1月6日

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