コロナ禍で導入が進む東京都政RPA、その現在地は?

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保険者からのファイルを一つにする

東京都がRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を導入して業務効率化を進めている。その一つが国民健康保険に関する業務のうち、高額療養費の現物給付の毎月実績を集計する業務。4月に導入し、速さと正確さで定評がある。行政手続きをデジタル化する「都庁デジタルガバメント」の一環だ。

国民健康保険では東京都の場合、62の区市町村と21の国民健康保険組合を合わせた83の保険者が存在する。保険者は保険給付の実績を都に毎月報告し、都は厚生労働省の仕様に基づいて構築した都の情報システムから厚労省に提出している。ここから漏れた形で毎月報告を求められるのが、高額療養費の現物給付の実績で、入院分とその他などの内訳だ。

都は保険者の担当者から毎月、エクセルファイルをメールで受け取り、それを一つのファイルにして集計し、厚労省の担当者にメールで提出している。このファイル作成にRPAを導入した。

従来は保険者からのファイルをそろえて集計し、転記が正しいか読み合わせをして完成させるまで40―50分程度かかっていた。今では「ファイルを所定の場所に格納すればRPAの稼働時間は5、6分で済む」(福祉保健局国民健康保険課の古谷修平氏)という。

スピードと効率化、正確さのほか「RPAは小回りが利く」(伊藤博国民健康保険課長)。大規模なシステムを一度構築すると、現場で入力条件や状況が変わっても柔軟に対応できないことがある。一方、RPAは対象が部分的ではあっても、すぐに効率化できる。

今回の導入は国民健康保険業務のごく一部にとどまる。ただ、「2021年度には都のシステムの再構築を予定しており、RPAの活用も含めて今後検討していく」(同)。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、小池百合子知事は都政のデジタル変革(DX)を掲げる。RPAはその重要なツールの一つとして導入されていくことになる。

日刊工業新聞2020年12月23日

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