退任まで半年のパナソニック・津賀社長「大事なのは中国で存在感を得ること」

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パナソニック・津賀一宏社長「HD化後は事業会社に直接関与するつもりはない」
―2021年の事業環境の見通しは。

「新型コロナウイルスにワクチンを打ちながら立ち向かう。航空機関連は厳しく、BツーB(企業間)関連は投資抑制が続く。一方、中国向けが事業全体をけん引しており、生活に直結した家電などがマイナス要素を上回る伸びを期待できる」

―22年に持ち株会社(HD)体制へ移行することを決めました。

「(12年の)社長就任時は社内を十分に見通せなかった。それをさまざまな構造改革で見える化した。今後、各事業の営業利益率は最低でも5%に引き上げる。成長領域ではEBITDA(利払い税引き償却前利益)も経営指標に取り入れる。ただ事業ごとに状況は違う。指標は一律で決めるものではない」

―「パナソニック」の社名を引き継ぐ主要事業会社の戦略は。

「家電はグローバルでは音響・映像(AV)以外が大きく成長できていない。白物やエアコンなどでグローバルに伸ばせるかがポイント。大事なのは中国で存在感を得ることだ。そのため中国と日本の橋渡しをする人材の育成に力を入れる」

―太陽電池やテレビなどで、構造改革のやり残しがあるのでは。

「太陽電池は技術開発を進めても限界が見えている。当社としての社会貢献は、ほぼ終わった。セルを外部調達してパワコンや蓄電池と組み合わせるソリューションに変える。テレビは、既にパネルは外部調達なので生産における付加価値はあまりない。音響で差別化するなど、最後の“味付け”が大事になる」

―米テスラ向け新型車載電池「4680」の開発を始めました。

「大容量のため電極構造が難しい。国内で試作して工法を確立する。高信頼性が当社の強み。(テスラは同電池の内製化を進めているが)テスラが競合となる懸念は全くない」

―楠見雄規次期社長にバトンを渡します。

「6月に会長となるが、HD化後は事業会社に直接関与するつもりはない。社長候補は楠見氏以外にも複数いた。大きな期待を寄せられる人材が複数いるのが当社の強みだ」

【記者の目/成長モデルを】

組織の巨大化ゆえにイノベーションを起こせない―。日本型企業の典型とも評されるパナソニックに津賀一宏社長は何度もメスを入れ、“HD体制”という次の舞台を用意した。ただ、傘下の主要事業会社の戦略が中国展開に依存するという側面は否めない。成長モデルをどう示すかが、楠見次期社長の最初の試金石となる。(大阪・園尾雅之)

日刊工業新聞2021年1月5日

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