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パナソニックが再生エネルギー電気を従業員に販売する狙い

家庭での利用促し、脱炭素に取り組む

パナソニックはグループ従業員に再生可能エネルギー電気の販売を始めた。工場向けに調達した再生エネ電気を希望する従業員の家庭にも供給する。同社は2050年までの温室効果ガス排出の実質ゼロ達成を目指しており、再生エネ電気を提供することで従業員も脱炭素に取り組める環境を整える。

パナソニックは小売電気事業者に登録しており、電気の販売ができる。これまでは調達業務として安価な電気を主にグループ工場に供給してきた。日中は工場、夜間は家庭と電力需要が増加する時間帯の違いを利用し、従業員にも価格を抑えた再生エネ電気を販売する。

従業員は電力契約をパナソニックに切り替えることで、再生エネ電気を家庭で使えるようになる。同社は脱炭素目標を掲げるだけではなく、実際の行動を重視している。二酸化炭素(CO2)を排出するあらゆる活動を見直し対象としており、従業員の家庭にも再生エネ電気を届けることにした。

実際には再生エネを使ったとみなせる国の非化石証書を購入して、“実質・再生エネ100%”の電気を販売する。非化石証書はCO2ゼロなどの環境価値を取引可能にしたものだ。

脱炭素を目指すと宣言する企業が増える中、オフィスや工場へ再生エネ電気の導入が広がっている。アミタホールディングス(HD)が再生エネ電気に切り替えた従業員に手当を支給している例があるが、従業員の家庭に提供するのは珍しい。

日刊工業新聞2020年12月11日

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