王子HDがコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの生産能力を引き上げるワケ
王子ホールディングス(HD)は、2025年をめどにコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの生産能力を現行比約3割引き上げる検討に入った。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの電動車向け。製造設備を増強し、投資額は数十億円を見込む。EVやHVなどの電動車はカーボンニュートラルの進展を背景に普及する見通し。生産体制を拡充し、高まるニーズに対応する。
子会社の王子エフテックス(東京都中央区)が滋賀工場(滋賀県湖南市)で、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)の専用生産設備を1台増設し、3台体制にする。具体的な生産能力は需要を見ながら、検討する。21年中にも計画を策定し、23年ごろに建設着工、25年に稼働したい考えだ。
同社グループの電動車向けOPPは、独自技術を活用し、耐電圧性や耐熱性、薄膜化、長期耐用性に優れているのが特徴だ。
EVやHVなどの電動車は、インバーターなどの電気駆動系に安全性の高いフィルムコンデンサーが使われる。ポリプロピレンフィルムの厚みが薄いほど、フィルムコンデンサーを小型化することが可能で、自社製品に対するニーズは高まると見る。
政府は50年までにカーボンニュートラルを達成するという国家目標を掲げ、30年代半ばまでに国内新車販売のすべてをガソリン車からEVやHVなどの電動車にする方針。東京都も30年までに都内で販売する乗用車を電動車に切り替える考え。
王子HDは電動車の需要が堅調に伸びると見ており、関連素材の増産に踏み切る。
日刊工業新聞2020年12月29日