ソフトバンクは「対アハモ」プラン。KDDIはどう出る?各社への業績打撃は必至
ソフトバンクは22日、携帯通信サービスの料金体系を刷新すると発表した。データ容量20ギガバイト(ギガは10億)を月額2980円(消費税抜き)で使えるオンライン専用の新ブランドを2021年3月に投入。既存ブランドでも21年2―3月に料金を見直す。新プランを発表済みのNTTドコモに追随した格好で、今後はKDDIを含めた値下げ合戦が過熱しそうだ。各社の業績への打撃は必至で収益源多様化の重要性が増す。(斎藤弘和)
オンライン専用新ブランドの名称は未定だが、「ソフトバンク・オン・LINE」がコンセプト。対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」で各種手続きをできるようにしてコストを削減し、低価格の実現につなげる。
ソフトバンクは今後、LINEモバイル(東京都新宿区)の吸収合併に向けた検討を進め、新ブランドもソフトバンクのサービスとして提供する。21年3月にソフトバンク傘下のZホールディングス(HD)がLINEと経営統合することを踏まえた措置だ。
デジタルに明るい世代に照準を合わせた点や、利用可能データ容量および月額費用は、ドコモが21年3月に投入する新料金プラン「アハモ」と同じ。アハモとの違いを問われた榛葉淳ソフトバンク副社長は「(対話アプリの)LINEは8600万人が利用しており、10―30代は8割以上が毎日使っている。ブランドにシンパシー(共感)がある」と主張。新ブランドへの加入者がLINEアプリを使う際はデータ容量を消費しない点も訴求していく考えだ。
加えてソフトバンクは、既存ブランドの「ソフトバンク」「ワイモバイル」でも料金体系を見直す。ワイモバイルは21年2月、第5世代通信(5G)に対応し、合わせて新料金プランも展開する。従来、ワイモバイルの20ギガバイトのプランは、10分以内の国内通話を無料とした上で12月下旬以降に月額4480円(消費税抜き)で提供予定だった。今回発表された新プランは3780円(同)であるものの、国内通話無料の特徴はなくなる。
一方、「ソフトバンク」ブランドの新プランは5Gで従来比1900円値下げとなる。オンライン専用新ブランドへ既存顧客が移る公算も大きく、業績への影響が懸念される。榛葉副社長は「(電子商取引の)ZOZOやヤフーを強化してきたし、法人事業も成長している。多角化によって(収益確保という)経営責任は果たしていきたい」と語った。
収益源多様化は携帯通信業界共通の課題だ。通信料の値下げ合戦の様相が強まる中、各社は非通信事業への取り組みが問われる。