ドコモ・au・ソフトバンク…5G投資戦略「勝者」の行方

  • 0
  • 6
1日付でNTTドコモ社長に就任した井伊基之氏の経営手腕にも注目が集まる

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは3月に第5世代通信(5G)商用サービスを始めた。現状では利用エリアが限られており、4Gと同水準に使えるのは2023年以降となる見通しだ。他方、20年は政府の携帯通信料金引き下げ圧力が強まった1年でもあった。値下げ競争の加速で収益が悪化すれば、5G投資にも影響が出かねない。

各社の5Gスマホ販売はコロナ禍で出遅れたが、秋以降に8万円以下の普及モデルなど製品ラインアップを拡充。10月には米アップルが5G対応の新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)12」シリーズを発売し、普及加速に期待がかかる。

MM総研(東京都港区)は、20年度の5Gスマホの出荷台数が833万台で、携帯電話出荷台数の約3割を占めると予測。ドコモは21年3月末までに250万台、KDDIは200万台の販売を目指す。

同じタイミングで商用化した3社だが、5Gネットワーク展開では戦略が分かれる。KDDIとソフトバンクは早期エリア拡大のため、4G向け周波数の5G転用に積極的な姿勢を示す。両社は22年3月末に5G基地局数を5万、人口カバー率を90%に引き上げる計画だ。

一方、周波数を転用しても通信速度は4Gと大きく変わらないため、「なんちゃって5G」だとの批判もある。ドコモは、エリア拡大よりも5Gの最大の特徴の一つである高速通信を重要視する。まずは5G周波数による基地局整備を進め、周波数転用は21年度後半からとする方針。そのため、ドコモの5G展開計画は22年3月末に基地局数2万、人口カバー率55%にとどまる。戦略の違いが契約数にどう影響するか注目される。

ドコモは5G基地局整備などに19年からの5年間で1兆円、KDDIとソフトバンクは10年間で2兆円を投じる計画だ。5G投資の原資を確保するためにも、法人向けサービスや金融など非通信領域の拡大による収益源の多様化が一層求められる。

日刊工業新聞2020年12月11日

関連する記事はこちら

特集