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大手スーパーがスタートアップとタッグ!影響を受けず野菜を安定供給する仕組みとは?

大手スーパーがスタートアップとタッグ!影響を受けず野菜を安定供給する仕組みとは?

独・インファームのファーミングユニット。店内に農場を作れる

大手スーパーマーケットがスタートアップと協業し、野菜の製造小売業のビジネスモデルを構築する。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U・S・M・H)は植物工場の国内スタートアップと、サミットは都市型農業を提案する独スタートアップと提携した。今後、自然災害などの影響を受けない環境下で、スーパーが野菜の生育を制御しながら店頭に安定供給する動きが活発化しそうだ。

U・S・M・Hはプランテックス(千葉県柏市)と提携。完全閉鎖環境下で生育を制御しながら野菜を栽培し、販売までのサプライチェーン(供給網)を構築する。製造小売業のモデル導入を検討するもので、野菜の収穫から販売までの時間短縮、鮮度の維持、気候変動や自然災害に左右されない安定供給体制を整備する。独自ブランドの野菜も開発する。

提携先のプランテックスは光、空気、養液を20以上のパラメーターに分けて個別に制御することで、植物の生育と成分をコントロールする技術を持つ。栽培施設での生産管理、研究施設での品種開発を行う。U・S・M・Hはプランテックスと共同で商品開発するほか、生産した野菜を自社販売網で直販する。

サミットは独インファームインドアアーバンファーミング、日本法人のインファームジャパンと提携した。「お店の中に農場をつくる」発想の下、2021年1月下旬にサミットストア五反野店(東京都足立区)で、インファームのファーミングユニットを導入する。同ユニットで育てたレタスやイタリアンバジル、パクチーを同店で販売する。

同ユニットは、ベルリン本社から遠隔でデジタル制御する。植物の生育状況を可視化し、育成状況に合わせた環境に継続して改善するため、通常よりも良く成長する。店で育成した無農薬の野菜を新鮮な状態で販売できる。

野菜の栽培は高齢化などで栽培技術の伝承が難しい上、自然災害の多発で供給に支障をきたす事例が増えている。配送による環境負荷を低減する狙いもあり、各スーパーは今後この取り組みを強化する。

日刊工業新聞2020年12月22日

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