三菱電機エンジの電磁環境適合性サービス、食品機械に照準を合わせたワケ
三菱電機エンジニアリング(MEE、東京都千代田区、永友秀明社長)は、EMC(電磁環境適合性)・安全認証サービス事業で食品機械向けを強化する。新型コロナウイルス感染拡大を契機に、飲食店などで手作業を自動化する動きが活発化している。海外安全規格のリモート認証も拡充し、コロナ禍の逆境に負けずに事業の成長を目指す。
MEEは食品機械向けを拡大するため、EMC・安全規格に加えて世界主要国・地域の食品医薬品規格への対応を進める。食品医薬品規格では機械で食品に触れる部分の材質が重要だが、安全規格だと素材の耐火性がより求められる。現在、担当者に各国・地域の食品医薬品規格を調査・勉強させており、円滑な認証取得を実現できるようにする。
MEEのEMC・安全認証サービス事業は従来、半導体製造装置や自動車部品、工作機械向けが多かった。新型コロナウイルス感染症の流行で衛生意識が急速に高まり、海外中心にすし製造機など日本製の食品機械需要が拡大しているという。
各国で使用可能な電波の仕様などが異なり、輸出する日本企業は国ごとに認証を取得しなければならない。特に食品機械メーカーはノウハウに乏しい中堅・中小企業が少なくないため、製品企画段階のコンサルティングから認証取得まで手伝うMEEの一括サービスに対する引き合いが増えている。
MEEは全国5カ所の試験センターを持ち、年間1200件以上のEMC試験・評価支援の実績がある。海外認証支援も同140件以上こなし、製品輸出を目指す中小企業などの需要が伸びる。
MEEは三菱電機の100%子会社で、2019年度の売上高が1172億円。主な事業は親会社の製品などの開発・設計受託だ。EMC・安全認証サービス事業も親会社向けはあるものの、今後グループ外の新規顧客を増やして着実な成長を狙う。