製品情報閲覧、AR鑑賞、問い合わせがスマホでらくらく!産業用ロボットがもっと使いやすく
産業用ロボット各社がスマートフォンを活用した新サービスを展開している。ファナックは迅速な保守サービスを実現するほか、三菱電機は工場自動化(FA)に関する製品情報を提供する。スイスのABBは拡張現実(AR)でロボットの稼働を見える化する。パソコンより身近で持ち運びが容易なスマホを活用することで、ロボットや自動化設備の利用における敷居を下げる効果が期待できる。(川口拓洋)
【QRラベル】
ファナックは12日に、スマートフォンを利用した問い合わせサービス「FabriQR Contact(ファブリキュアコンタクト)」の提供を開始した。機械に貼付されたFabriQRラベルを通じて、ユーザーとファナックのサービスコールセンターを容易につなげる仕組み。適切・迅速な保守サービスを提供する。
具体的には、ファナックの機械やロボットに貼られたFabriQRラベルをユーザーがスマホで読み取ると、URLが表示され、保守に関する画面にアクセスできるようになる。ユーザーは同画面に問い合わせ内容と必要事項を入力する。これをファナックの担当者が確認し、ユーザーへ電話連絡する。
装置の製造番号を自動的に識別することで、顧客の問い合わせに関する負担軽減につなげる。まずは、日本国内でサービスの提供を始めた。
【製品情報取得】
三菱電機は9月に製品情報をスマホで取得できるサービス「FA SPEC Search」を開始した。産業用・協働ロボットやシーケンサー、ACサーボモーター、放電・レーザー加工機などFA関連機器が対象。装置を型名から検索できるほか、製品仕様の比較も可能だ。生産現場にパソコンがない場合でも、スマホで手軽に設備の仕様を確認できる。スマホのアプリケーション(応用ソフト)のため、オフライン環境下でも稼働する。
【アイデア創出】
スイスのABBは8月に「RobotStudio ARビューア」の提供を開始した。同社のプログラミングソフト「RobotStudio」で構築したロボットやロボットセルをARで現実空間に投影する。ARのためフルサイズに拡大したり回転したりして見ることができる。既存設備との比較や配置に関するアイデア創出につながる。
これまで産業用ロボットは自動車や電機といったメーカーの生産技術部門を中心に使われてきた。今では工場の自動化ニーズを背景に、さまざまな現場で産業用ロボットの活用が広がり、携わる人の範囲も拡大している。ロボットと人の橋渡しをスマホという身近なデバイスが担うことで、ユーザーの裾野が広がるきっかけになりそうだ。
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