旭化成が開発した「透明RFIDタグ」がスゴい!偽造防止に期待かかる
旭化成は、独自の超微細印刷技術による透明な無線自動識別(RFID)タグを使った偽造防止ソリューション事業を立ち上げる。高度な製造技術が必要で、複製できないタグを正規品に付けることで、サプライチェーン(供給網)に偽物のタグを付けた偽造品が混入することを防ぐ。2022年4月にサービスを開始し、中期的に売上高100億円を目指す。
従来のRFIDタグは打ち抜いた金属膜を使っており、商品に貼るとデザインを損ね、重要な情報が隠れてしまう。タグを偽造され得るのも問題だった。
旭化成は線幅ナノメートル(ナノは10億分の1)レベルの金属メッシュを印刷した高解像度透明フィルム「PED」を使い、タグを開発した。超微細メッシュをロール・ツー・ロールで印刷できるのは旭化成だけといい、タグの偽造を防げる。卸や物流拠点、店舗などで、同メッシュの特徴を生かして真贋(しんがん)を判定する装置を通し、偽タグを付けた偽造品の混入を防ぐ。
ICチップの情報などRFIDの機能そのものは真贋判定に使わないが、超微細メッシュ自体がRFIDタグのアンテナとなっており、トレーサビリティー(履歴管理)システムにも利用できる。
旭化成は近く、製品メーカーやタグメーカーや物流、Eコマース(電子商取引)企業らとコンソーシアムを立ち上げ、早期に偽造防止ソリューションの実証試験を開始する。ビジネスモデルはコンソーシアム会費と真贋判定回数による従量課金を想定する。
偽造品取引被害は年々拡大し、偽造技術も精巧になっている。医薬品や化粧品の偽造は健康被害を招く恐れがあり、今後は特に新型コロナウイルス関連の製品で偽造が懸念される。旭化成はヘルスケア分野を中心に幅広く利用者を開拓する。
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日刊工業新聞2020年12月8日