パナソニック×アサヒビールなど相次ぐ異業種連携、プラ製品廃棄削減の突破口だ!
プラスチック製品の廃棄削減に向け、企業の連携が相次いでいる。異業種が技術を持ち寄り、知恵を出し合って新しいリサイクルや容器の軽量化に挑んでいる。これまでも代替素材や再生材の利用事例は多いが、1社では日本全体のプラスチック廃棄削減には限界があった。連携がプラスチック問題解決の突破口となりそうだ。(取材=編集委員・松木喬)
【袋から傘へ】
旭化成ホームプロダクツ(東京都千代田区)は米ベンチャーのテラサイクルなどと連携し、食品保存に使うプラスチック製袋「ジップロック」の再利用を始めた。テラサイクルが使用済みジップロックを収集し、材料に戻してビニール傘に再生。アパレルのビームス(東京都渋谷区)がデザインを担当し「使いたくなる傘」に仕上げた。リサイクル傘はNature Innovation Group(同)のITサービスを活用し、西武鉄道の都内と埼玉県の駅で9月から貸し出す。
異業種の連携だから“袋から傘”への再利用が実現した。採算性よりも企業イメージ向上につなげる試みだが、テラサイクルのエリック・カワバタマネージャーは「この発表で他社にもインスピレーション(ひらめき)が湧き、リサイクルへの参加が増えると経済合理性が生まれる」と語る。参加企業が増え、再生量も拡大すると利益が出てリサイクルが進み、プラスチック製品の廃棄が減る。
【連携組織設立】
日本財団も連携組織「アライアンス・フォー・ザ・ブルー」を設立し、キックオフイベントを開いた。川崎重工業、コクヨ、セブン&アイ・ホールディングス(HD)、大日本印刷、明治HDなど14社が参加する。海へ流出するプラスチック製品を減らすための素材開発や市民への啓発で異業種が協力する。
先行して活動する連携組織もある。花王や味の素など350社が参加する「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」は、企業同士のビジネスマッチングが6件成立した。北村化学産業(大阪市中央区)は同社の発泡トレーと、日本製紙の紙製素材を組み合わせ、総菜・弁当容器とフタのプラスチックを40%削減した。
パナソニックとアサヒビールは植物由来のセルロース繊維混合プラスチックの利用で提携する。パナソニックは混合プラを家電に採用し、アサヒビールとは飲み物を注ぐタンブラーを共同開発した。さまざまな石油プラ代替素材が開発されているものの、実用化や普及が課題となっている。2社はお互いが違う分野で商品展開することで用途と使用量をともに増やし、普及を加速できる。
【国内で再利用】
国内で発生する年900万トンの廃プラスチックのうち、製品への再利用は2割台にとどまる。また日本は廃プラを資源として輸出していたが、受け入れる国が減っており、国内でのプラスチック使用の削減や再利用が迫られている。目的を共有した企業同士の連携ならば、新しいアイデアや代替素材を積極的に採用できるため、今後、プラスチック問題の解決につながる成果が増えそうだ。