自動車用ハーネス好調の住友電工、フィリピン・東欧で生産増強急ぐ

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住友電気工業は主力の自動車用ワイヤハーネスが復調してきた

フィリピン 2工場増強/東欧 生産を移管

住友電気工業は新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んでいた主力の自動車用ワイヤハーネス(組み電線)の業績が回復してきた。2020年10月―21年3月の受注額は前年同期を10%程度上回る見通しだ。販売好調な特定車種向けが増えるため、フィリピンの2工場で生産能力を計1割程度増強する。欧州は人件費高騰対策のため、東欧の既存工場から北アフリカやモルドバなど、より低賃金の地域に生産を移し、収益の改善を急ぐ。(大阪・錦織承平)

住友電工の車用ハーネスの21年3月期売上高は前期比6・3%減の1兆1547億円を計画。ただ、20年10月―21年3月期に限れば前年同期比7・3%増の6617億円と回復する見通し。ハーネスを含む自動車事業の営業損益も20年4―9月期は274億円の赤字だったが、21年3月期通期は250億円の黒字に転換する計画だ。

フィリピンは販売好調の特定車種向けハーネスの生産が増えている。そのためワイヤハーネス工場を増築する。電動車向けなどで需要が増える太径のパイプハーネス工場も新工場を建て、それぞれ22年に稼働する。

欧州は18年頃から東欧の工場で人件費の高騰や人手不足が課題となっていたため、より低賃金なチュニジアやモルドバ、アルバニアに順次生産を移す。チュニジアは新工場を2カ所建設し、いずれも21年中に稼働する。アルバニアは9月頃から小規模生産を開始済み。モルドバは19年に賃借した工場で生産を始めた。

住友電工は車用ハーネスで年500億―600億円規模の設備投資をしており、21年3月期も同規模となる見通し。フィリピンや東欧の生産増強・移管もこの投資額の範囲内に収まる。

21年3月期の業績予想では新型コロナが不安要素としてあるものの、井上治社長は「10―11月の状況を見ているとハーネスは今の予想よりも上振れるのではないか」と期待感を示す。自動車業界の生産販売が19年水準に戻るのは、22年までかかるとの見方だが「ハーネスは受注車種に恵まれている事もあり、来年はもっと増える予定」(井上社長)。主力事業に早期の回復シナリオが見えてきた。

日刊工業新聞2020年12月4日

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