相次ぐ工場閉鎖に希望退職募集、自動車部品各社の構造改革は吉と出るか

  • 3
  • 14
新電元工業は事業構造改革を進め、収益力を高める(主力の2輪用電装部品群)

新型コロナウイルスの影響から回復基調にある自動車業界で、工場の閉鎖や希望退職の募集など事業構造改革に着手する部品メーカーが相次いでいる。従来から業績が低迷していた中、“コロナショック”に直面し、急激な業績悪化に耐えられず抜本的な見直しを迫られた格好だ。痛みを伴う改革を行いながら市場環境の変動に強い事業構造に転換し、収益を確保できる体制を整えることが重要になる。(取材=鎌田正雄)

事業選別、経営合理化に力

11月に入り、部品メーカー2社が事業構造改革を打ち出した。2輪車、4輪車用電装品などを製造する新電元工業は、新型コロナの影響で業績が落ち込んだことで、飯能工場(埼玉県飯能市)の研究開発と事業運営の両機能を停止する。これに伴う構造改革費用として、2020年4―9月期に13億5700万円を特別損失に計上した。21年3月期の連結決算業績予想は当期損益が71億円の赤字(前期は41億円の赤字)を見込む。

21年4月開設予定の朝霞事業所(同朝霞市)と国内生産会社に飯能工場の研究開発機能を移管し、合理化を図る考え。国内工場の生産ラインの一部を海外に移管するなど、生産体制の適正化にも取り組む。併せて21年3月期中に希望退職などを行い、本体と国内グループ会社で10%程度の人員を削減する方針だ。

ピストンリングを手がけるリケンは、コロナ禍による受注減により、21年1月に希望退職の募集を始める。リケン単体の1割に当たる150人程度を計画し、特別損失として12億円程度を見込む。同社が希望退職を募集するのは初めて。21年3月期の連結決算業績予想は当期損益が6億円の赤字(前期は35億円の黒字)と見込む。

一方、春先に新型コロナ拡大のうねりを受け、事業構造改革に着手した部品メーカーは、苦境を抜け出そうとさまざまな策を講ずる真っただ中にある。私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請したサンデンホールディングス(HD)は事業再生案を策定中。6日に開いた第2回債権者会議で同案を銀行団に提示する予定だったが「スポンサー選定スケジュールに遅れが生じていることから再建案の策定に時間がかかっている」(同社)という。

会議後に取引先メーカーの関係者に行った説明会では、四半期決算と事業再生案の提案先送りについての説明が中心で「特に目新しい話はなかった」(取引先企業)。欧州の自動車需要の増加などを背景に「目先の注文は計画より増えている」(同)と明るい兆しもあるが「今後、どうなっていくのかは分からない」(同)のが取引先メーカーの本音。12月に成立を予定する事業再生ADRの成り行きを静かに見守っている。

このほか、21年9月に新潟県、12月に群馬県の計2工場を閉鎖する予定のミツバは希望退職を実施。約500人程度の募集人数に549人が応募し、10月末に退職した。車シートメーカーのタチエスも適正な利益を確保できるオペレーション体制の確立を目指し、早期退職者を募集した。232人が応募し、9月末に退職した。

事業構造改革に迫られた部品メーカーは新型コロナの拡大前から業績が低迷し、経営基盤が弱かったと言える。新電元工業は20年3月期連結業績の当期損益で41億円の赤字(前期は38億円の黒字)。営業利益は前期比68・8%減の17億円と大幅に減少した。特にパワーモジュールなどのデバイス事業で、同社が主力とする車・産機・家電市場が低迷。工場稼働率の低下などで同事業単体で2億円の営業赤字(前期は26億円の黒字)だった。

サンデンHDは連結17年3月期と19年3月期に当期損失を計上。欧州で燃費規制の強化によるディーゼル車の販売減少や、米中貿易摩擦による中国車市場の減退などが想定以上に影響した。20年3月末までにグローバルで2000人規模の希望退職を実施し、収益体制を改善しようとしたが新型コロナのダメージが大きかった。

ミツバは18年3月期以降、連結当期損益が3年連続で赤字を計上した。北田勝義社長は「売り上げ偏重の経営方針と固定費・設備投資の増大が収益・財務体質悪化の要因」と分析する。

CASE中心に開発急ぐ

こうした中、各社は事業を選別し、経営合理化に力を注ぐ。環境対応製品やCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応を中心に開発を急ぐ考えだ。新電元工業は「(2輪の電装事業では)足元のシェアをしっかり確保しながら、電動化をにらみデバイスの開発にも着手する」(鈴木吉憲社長)。次の柱として「自動車の環境対応車の開発が進む中、カスタム対応で培ってきた実績をベースに高効率なDC/DCコンバーターを提供していく」(同)と説明する。

ミツバは次世代製品の強化を重点施策に掲げる。電動2輪車用主機システムのモーターなどの開発に注力。「環境対応商品を強化し、2輪の売上比率を20%弱から25%超にする」(北田社長)ともくろむ。

日刊工業新聞2020年11月23日

関連する記事はこちら

特集