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有効求人倍率「1倍」割れ目前、日本の雇用はどう変わる?

有効求人倍率「1倍」割れ目前、日本の雇用はどう変わる?

新型コロナ感染拡大は2021年春卒学生の就職活動を直撃した

雇用情勢が悪化の一途を辿(たど)っている。新型コロナウイルスの感染拡大で解雇が増加し、有効求人倍率は2013年10月以来の1倍割れが目前に迫ってきた。政府は雇用調整助成金の特例措置延長を決めたが、産業界では新型コロナ対策の長期戦を見据えて希望退職の募集や新卒採用の圧縮が相次ぐ。過熱する株式市場に反比例する形で雇用環境は厳しさを増しており、実体経済の回復は容易ではない。

有効求人倍率は9月に1・03倍と9カ月連続で下落し、6年9カ月ぶりの低水準となった。12月1日には、10月の同倍率が公表される予定で「1倍を割り込むか、ギリギリのライン」(小寺信也みずほ総合研究所主任エコノミスト)とされる。先週末には、足元の景気悪化を受けて雇調金の特例期限を12月末から21年2月末に延長することを決定。年明けから縮小する方針を修正した。

一方、政府の対策とは裏腹に、産業界では雇用調整が本格化しつつある。需要回復の遅れや非対面・非接触の動きを見据え、航空業や小売り業などでは希望退職が相次ぐ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「新型コロナのワクチンが普及しても以前の需要にV字回復するわけではなく、日本経済への“後遺症”は残る。覚悟を決めた企業は早めに調整に動いている」と分析する。

他方、日米の株式市場は経済回復への期待先行で上昇局面が続いている。ただ、これらは米テック大手の業績拡大やワクチン開発の進捗(しんちょく)を好感したのが主因だ。コロナ収束後に日本経済が確実に回復することを反映しているとは言いがたく、雇用情勢も「実需に見合った形になる」(小林主席研究員)。

中長期的には、日本は人手不足問題が顕在化するものの、デジタル化の急拡大に伴い、求められる人材は大きく変わる。例えば、対面業務は「サービスで付加価値を付ける仕事は残り、そうではない仕事は自動化され、二極化される」(小寺主任エコノミスト)。日本企業の業務プロセス改革と雇用の変化は不可避の情勢で、働き手もウィズコロナ時代をにらんだ対応が求められる。(編集委員・敷田寛明)

日刊工業新聞2020年11月30日

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