この三つだけはやり切ろう!部下との接し方に悩む上司へアドバイス

#6 コロナ禍だからこそ、上司に必要な3つのポイント

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 今年は、新型コロナウイルス(COVID-19)への対策として、テレワークを実施したり、推奨したりする企業は増えました。今までのオフィス勤務前提のやり方ではうまくいかないことに直面した方も多いのではないでしょうか。
 好むと好まざるとに関わらず、この不確実な時代、これまでの当たり前、前提条件を見直すことが必須です。今回はコロナ禍で上司が部下やチームとの仕事で意識したいポイントに焦点を当てます。

従来のように、阿吽の呼吸のようなコミュニケーションでやってきた、昭和型の仕事の仕方やマネジメントから、成果型の仕事の仕方に変わり、マネジメントスタイルも同じように変わるちょうど過度期にいます。ですが、根本的なところは変わりません。ビジネスの本質は『人』です。人と人とのつながりやかかわり合いで成り立っているからです。コミュニケーションほど、大事なことはないのです。

しかし、「部下とのコミュニケーションをよくとりましょう」という一言は言うは易く行うは難しです。特に、令和の環境において、多様な背景や経験、性格も違う部下とのコミュニケーションをきちんととれておらず、部下のことがわからない、あるいは部下育成ができていないと悩む上司は多いのではないでしょうか。そこで、コロナ禍の上司にとって、改めて大事だと思う3つのポイントをご紹介します。

①目標を明確にする

曖昧な目標は、できない言い訳をつくります。各自がそれぞれの立場で、あるいは都合のいいように解釈し、「正しい」と思う方向に向かいます。結果的に、それぞれが勝手なことをやり始め、バラバラな状態を作ります。

私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。国籍、年齢、性別などの属性、人生観やキャリア感などの価値観、経験や知識、能力など、さまざまなものが多様化しています。何も特別なことではありません。例えば、中途採用者、年上部下、時短勤務の人、テレワークしている人など、さまざまな人が働いています。

これだけ多様なメンバーと一緒に仕事をするとなると、目標を誰もがわかるぐらい明確にして、共通認識を持つことを確認しなければ、目指すべきところに一丸となって進められなくなります。そんなことわかっていると思う人は多いと思います。

大事なことは、みなさんがわかっているということではなく、みなさんの部下やチームが同じ認識を持っているかどうかです。まずは、「知っているに違いない」と決めつけず、念のためにみなさんの部下に目標を説明してもらい、共通認識を持っていることを確認することが大切です。

もし目標が曖昧であれば、SMART手法(具体性、計量性、達成可能性、関連性、期限)を使って、目標を明確にしましょう。例えば、「2021年3月末までに、5000万円の売上げを達成する」のような目標を立てるのです。すると、その目標を達成するために必要なアクションを具体的に考えられるようになります。結果として、みんなで同じ方向を見て、目標を達成しようと取り組めるのです。共通認識を持つためにも、誰でもわかる、具体的な目標を設定していきましょう。双方が納得できる評価をする上でも大事です。

図:SMARTゴール

また組織都合の目標を一方的に与えるだけでは、あまり効果がありません。強制的な目標設定は各チームやメンバーのやる気を下げます。「最善の努力をしましたが、達成できませんでした」という言葉が聞こえてきそうです。このため、令和時代の上司は部下と、目標と目標達成に必要なサポートやリソースについて話し合い、双方で合意します。そして部下にコミットしてもらいます。さらに、目標を達成するために必要な業務を洗い出し、見える化していくことが重要です。

②コミュニケーションを計画し、実行する

私たち一人ひとりには説明責任がありますが、この責任をきちんと果たせる人は意外に少ないと思います。思わぬ問題や失敗が起き、悪い報告をするのも気が重いものです。「できない人だと思われたくない」「面倒をかけたくない」「手間をとらせたくない」など、いろいろな思いや考えがあるでしょう。ですから、自分がなかなかできないことを部下に期待してはいけません。

部下に説明責任を果たしてもらえるよう、タイムリーかつスムーズに情報共有できる環境や仕組みをつくることが大切です。まずは、上司と部下の個人面談である「1on1ミーティング(1on1)」を毎週設けましょう。普段から話せる機会を意図的につくることで、部下にとっては質問や相談がしやすくなります。上司としても、状況や状態を以前よりも知ることができ、情報共有やフィードバックする機会を増やせます。また雑談できる場にもなります。その結果、お互いの理解が深まり、共通認識を持って仕事に取り組めやすくなります。

「わかっているけど、やることが多く、時間がない」という人もいるかもしれません。ですが、部下とのコミュニケーションを後回しにすると、部下の成長を支援し、応援するチャンスを失います。事前に防げる失敗やミスを防ぐ機会も失います。思わぬトラブルが生じたり、チームの雰囲気が悪くなったりし、さらに面倒なことになります。みんなが疲弊します。そこで、強引にでもコミュニケーションする時間を確保し、スケジュールし、仕組み化&習慣化することが重要です。

 

すると、共通認識が増え、部下は自立して動いてくれるようになっていきます。何か問題があっても大きくなる前に対処できます。情報共有ができているので協力しあえ、チームとして目標に向かっていけます。あなた自身の負担も減り、余裕が出てきます。そしてより重要な仕事に取り組め、成果を出せるようになります。そのため、普段からコミュニケーションを仕組み化することが大切です。

図:コミュニケーションを仕組み化する

1on1で大事なことは、管理のためではなく、部下の成長を促すためと位置づけることです。部下の現状や悩みを聞き出しながら、部下の能力を引き出す「部下の育成のための時間」です。そのため、部下が「話せてよかった」「気づけてよかった」「学べてよかった」などと思ってもらえることが大切です。 部下によっては、大きな問題がなければやる必要がないと思うかもしれません。時間がとられ、効果がわかりにくいときもあるからです。そのため、目の前の仕事だけではなく、もう少し長い期間で見て、部下の成長やキャリア開発を支援したいこと、1on1の意義などを部下に伝える必要があります。

そこで、「今困っていることは何か?」「上司として何か力になれることがないか?」を中心に対話していきます。また傾聴や質問をして、内省を促しながら、「気づきや学び」「よかったこと」「改善したいこと」「トライしたいこと」を考えてもらいましょう。

また、仕事を進めていく上で、妨げになっていることや障害があれば、いつでも協力するというあなたのスタンスを部下に知ってもらいましょう。そもそも、上司の仕事として、部下が成果をあげる上での障害を取り除き、働きやすいように環境を整えることが大事なのですから。その上で、報告の責任があること、あなたは具体的に何を求めているのかを伝えることです。そして、「情報共有してくれることがありがたい」という旨を伝え、それを繰り返し言い続けることが大切です。

③エンゲージメントを高める

部下と一緒に仕事の意味づけを行うことは大切です。特に「会社の目標」と「個人的にやりたいこと」を関連付けることです。共通部分を見つけて、社員のエンゲージメントを高めましょう。ここでいうエンゲージメントとは、会社に対する貢献意欲です。社員一人ひとりが会社の目標を理解し、自発的に力を発揮しようというものです。この背景には、個人がキャリアを設計する時代になり、「個人と組織が対等の関係で、互いの成長に貢献し合える」という考え方があるからです。

そして、部下に成長できる環境を整備し、働きがいを感じてもらいましょう。

ただ、この時代特有の注意すべき点もあります。テレワークという離れた環境で多様な人と仕事をする場合は、オフィスにいるときと比べて、今まで以上にコミュニケーションを図ることが重視されます。

テレワークだと相手が見えない、状況がわからないといったことが生じるため、見える化していくことが大切です。目標や作業、手順について共通認識を持つ。同じゴールがあるから、チームとして一緒に向かっていける。チームの雰囲気や協力し合える関係性、メンバーの気持ちなども大切にしなければなりません。そのために1on1を増やす。雑談やちょっと会話できる機会を増やすのです。

対話や会話するときは、感情的にならず、相手の話をきちんと聴きましょう。10-15分程度の朝会のようなものを設け、チーム内で「どう?」「今日、なにやるの?」みたいな軽いコミュニケーションの場を作るのも1つです。

こうしたことを積み重ね、「この会社で頑張れば、自分はもっと成長できる」「転職より、ここで働きたい」と部下に思ってもらえたらベストです。会社と部下の個人的な目標の共通項を見つけ、部下が成長を期待することができる環境を提供することは、あなたの最も大切な仕事で、腕の見せ所です。

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<著者紹介>
飯田剛弘(いいだ よしひろ)

愛知県生まれ。2001年、南オレゴン大学卒業(全米大学優等生協会: Phi Kappa Phi 所属)後、インサイトテクノロジー入社。2004年よりインド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本の出版翻訳に携わる。マーケティングに特化後は、データベース監査市場にて2年連続シェア1位獲得に貢献。市場シェアを25.6%から47.9%に伸ばす(ミック経済研究所)。
 製造業の外資系企業FAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者として、日本から海外にいるリモートチームをマネジメント。アジア太平洋地域でのマーケティングやプロジェクトに取り組む。人材育成や多様性のあるチーム作りにも力を入れ、1on1ミーティングは1,000回を超える。
 2020年、ビジネスファイターズ合同会社を設立。現在、多様なメンバーと協働し、グローバルビジネスで結果を出してきた経験を基に、経営やマーケティングの支援、グローバル人材の育成やリモートチームのマネジメント支援(研修・講習・執筆)など多方面で活動中。
 著書に『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)、『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)、『こじらせ仕事のトリセツ』(技術評論社)がある。
https://bizfighters.com/

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