中小企業支援の新しい資金調達の形、インパクト投資が今熱い!

  • 0
  • 1
リンクルージョンはミャンマー農村の配達事業拡大の資金をインパクト投資で調達

社会や環境の課題を解決する事業や企業を資金支援する「インパクト投資」が広がっている。日本の2018年度のインパクト投資残高は16年度比10倍の3440億円に成長したと推定されている。配当を得ながら社会貢献ができるため、インパクト投資を選ぶ個人や機関投資家が増えている。ベンチャーや中小企業にとっては資金調達の新しい手段となりそうだ。

途上国の発展に貢献

ミャンマーのヤンゴンに本社を置くリンクルージョン(黒柳英哲社長)は、同国で配達事業を展開している。農村部で営業する小規模商店からスマートフォンで注文を受け、商品を届ける事業だ。

同国は物流網が未成熟なため、農村の商店は片道1時間をかけて都市に出かけて商品を仕入れている。しかも店主の大半は女性だ。配達サービスを利用する女性店主は長時間の仕入れ業務から解放され、子育てなどの時間を増やせる。

同社は9月上旬、事業拡大のために資金調達を始めた。クラウドファンディング大手のミュージックセキュリティーズ(東京都千代田区)が協力し、インターネットで資金を集めるファンドを立ち上げた。このファンドがインパクト投資となっており、配達サービスによる社会的効果を持続可能な開発目標(SDGs)で評価する。出資者が確認できるように数値化しており、SDGsの目標8(雇用・経済成長)に対して25年3月までにサービス契約店舗数を現状比90倍の5万件にする目標を設定した。

ミュージックセキュリティーズ証券化事業部の金川誠氏は「リンクルージョンと打ち合わせて目標を決めた。市場を調査し、事業成長に連動して社会的インパクト(影響)も高まる設計にした」と解説する。ファンドは現在までに170人以上から資金を集めた。ミュージックセキュリティーズの小松真実社長は「途上国の発展に貢献する日本人を応援したい個人が出資している」と分析する。

ESG投融資の発展形

機関投資家もインパクト投資を始めている。第一生命保険は途上国の低所得者向けに金融サービスを提供する五常・アンド・カンパニー(東京都渋谷区)など、社会課題を解決するベンチャーやファンドに投資している。第一生命も出資先から社会貢献の進捗(しんちょく)を報告してもらっている。

インパクト投資は経済的リターンと社会や環境への効果を同時に生み出す金融手法と定義される。環境省は報告書でインパクト投資を「ESG(環境・社会・企業統治)投融資の発展形」と位置付けた。現状のESG投資は上場企業の株式保有が多いが、投資家には資金が社会や環境へ貢献したのか分かりにくい。国内外のESG投資に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの吉高まり経営企画部副部長は「社会を変える方向に資金が流れたモニタリングの役割をインパクト投資が担うようになった」と解説する。

貧困解消事業や課題解決を目指して起業したベンチャーの応援も「少額投資で影響が小さくても、インパクト投資として目的が明確」と役割を話す。社会貢献型の新ビジネスを始める資金をインパクト投資で調達するなど、中小企業も活用によって成長資金を獲得できる。

日刊工業新聞2020年11月13日

関連する記事はこちら

特集