車を個人オフィスに!スズキなどが事業化へ

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浜松発のテレワーク構想として次世代のモビリティーのあり方に一石を投じる(3日のイベントに集まった関係者)

スズキや東海理化などは自動車を活用した新たな働き方の提案を始めた。新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが増える中、車を個人オフィスなどとして浜松市内の駐車場で使用してもらう。実証実験に取り組み、2021年4月以降の事業化を目指す。駐車場が新たなコワーキングスペースなどとしての広がりを期待する。コロナ禍を経験する中で次世代のモビリティーも探る構えだ。(名古屋・山岸渉)

今回取り組みを進める「浜松テレワークパーク実現委員会」は、ウィーウィル・アカウンティング・アソシエイツ(浜松市中区)が代表となり、スズキ、東海理化、浜松市で構成する。

実証実験はスズキの軽ワゴン5台を改造し机や電源、Wi―Fiなどを備えた「オフィスカー」として貸し出す。スマートフォンから予約し、スマホを活用したデジタルキーでドアの開閉ができる。駐車場には電源を整備し、エンジンを切って環境に優しく電気を使って仕事などができる。

11月下旬からは他企業も参加して実施する予定。都市でありながら海や山、川など身近に自然を感じられる住環境が特徴の浜松市から、車と駐車場を活用する「浜松テレワークパーク構想」を全国へ広げたい考えだ。

この構想はコロナ禍だからこそ生まれたと言える。テレワークが進み、家族と暮らす自宅では個室を確保できなかったり、孤独に働く寂しさを感じたりする課題がある。駐車場でのテレワークが増えれば、テレワーク者同士のコワーキングスペースとして新たなビジネスの発想の土壌になり得る。人が集まれば、駐車場での飲食店などの新たな経済効果も期待される。

こうした新たな自動車の使い方の発想は、モビリティーの変化も加速させそうだ。スズキの鈴木俊宏社長は「人を中心にモビリティーとして何ができるのか。都市のあり方も変えていく好機だ」と捉える。今回を機にスズキはコンセプトモデルとして、軽トラックの電気自動車(EV)を初披露した。軽トラック「スーパーキャリイ」をベースとし、テレワークだけではなく災害時などの電源確保にも活用できる。

東海理化の二之夕裕美社長も「外のニーズを知り切れていない。市民や顧客がどんな困りごとがあるのかを勉強したい」と参加の意図を語る。東海理化は東京・大手町にある、ビジネス創出に向けたスタートアップと大手企業の交流拠点「インスパイアードラボ」に入居しており、今回の連携につながった。自動車のキー技術を生かしたデジタルキー領域でベンチャーなどと連携も進めている。

コロナ禍が新たな発想や連携を生み出した。「当社だけでは固定観念があった。もっと自由な発想があっていい。5年―10年先には新型コロナさまさまと言えるかもしれない」(鈴木スズキ社長)と、浜松発の構想が次世代モビリティーのあり方に一石を投じるかもしれない。

日刊工業新聞2020年11月13日

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