都内東証1部企業、「4社に1社」が本社の移転・縮小検討。脱東京進むか
東京都内に本社を置く東証1部上場企業の4社に1社が、本社の移転か縮小を具体的に検討していることが、国土交通省の調査で明らかになった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い8割以上の企業がテレワークを導入し、7割はコロナ収束後もテレワークを拡大・維持する考え。10社に1社は単身赴任の廃止も検討。一方、個人調査では東京圏在住のフルタイム労働者の4割が完全テレワーク勤務ができれば引っ越しを検討するとし、コロナを機に企業と人の両方の脱東京の動きが加速する可能性が高い。
国交省は企業の東京圏への過度な集中の是正策を検討しており、コロナで企業と個人の意識がどう変わったか調査した。8月下旬に都内の東証1部上場2024社に調査票を郵送し389社が回答。テレワーク利用企業は81%でコロナ以前の3・5倍。業種では情報通信、学術研究、製造業が多い。26%の企業が本社の移転か縮小を検討しているが、移転先は1都3県が多く地方は少ない。テレワーク環境が十分整えば60%の企業がオフィスを縮小する考えだ。
個人対象の調査は、9月に18―65歳の男女4376人にウェブで実施。東京圏への流入者は高学歴、大企業勤務の割合が高い。テレワークに伴う引っ越しは、東京圏への流入者の38%は出身地以外の地方を含めて検討するが、東京圏出身者が地方への移住を検討する割合は2割に留まる。
調査結果は12日に実施する「企業等の東京一極集中に関する懇談会」で報告する。
日刊工業新聞2020年11月12日