テレワーク浸透で家庭用プリンター好調も、事務機器大手の業績に明暗のワケ

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事務機器主要5社の2021年3月期(キヤノンは20年12月期)の連結業績予想は、明暗が分かれそうだ。コロナ禍によるオフィス印刷需要の減退が響き、リコーは営業損益を赤字に下方修正。これまで未定としていたコニカミノルタも営業赤字を見込む。一方、前期比でマイナス予想は維持するものの、キヤノンとセイコーエプソンは上方修正。在宅需要でプリンターの販売が好調だったことが背景にある。各社は、オフィス印刷部門以外の業績をいかに伸ばせるかが問われる。

富士フイルムホールディングス(HD)が10日に発表したドキュメントソリューション部門の20年4―9月期連結決算は、営業利益が前年同期比48・4%減の283億円だった。オフィス稼働低下で印刷量が減少したことなどが響いた。

一方、同HD全体の21年3月期の営業利益予想は8月公表比30億円増の1430億円へ上方修正。バイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)事業の伸長を加味した。HD全体での成長を目指す。

リコーは、8月時点で21年3月期の営業損益予想を100億円の黒字としていたが、490億円の赤字に転落する見通しだ。主力のオフィス印刷などの業績が6月以降、回復基調にあったものの、足元で「(欧州を中心に)ロックダウン(都市封鎖)が宣言され、回復に急ブレーキがかかっている」(山下良則社長)という。

今後は機器や業務ソフトウエアなどを組み合わせた「オフィスサービス事業」の成長を加速させる構えだ。21年4月にはカンパニー制を導入し、複合機事業とオフィスサービス事業を統合。オフィス関連分野で経営資源の再分配を図る。

コニカミノルタはオフィス事業で、人員の10%を再配置・適正化するなどの構造改革を実施。構造改革費用として21年3月期に65億円を計上する。山名昌衛社長は「計測・検査・診断にこだわり、利益貢献比率を上げていく」とし、同社もオフィス事業に続く柱の構築を急ぐ。

一方、キヤノンとエプソンは前期比で営業減益予想を維持するものの、在宅需要で販売が好調だったインクジェットプリンターが下支えする。キヤノンはインクジェットプリンターの20年12月期売上高予想を7月公表比177億円増の3150億円に修正。エプソンも21年3月期の大容量インクタンク搭載プリンターの販売台数予想を7月公表比40万台増の1000万台へ修正した。キヤノンの田中稔三副社長最高財務責任者(CFO)は「先進国を中心に家庭での印刷機会が増加しており、今後もインクジェットプリンター需要は安定して推移する」とみている。

日刊工業新聞2020年11月11日

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