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積水ハウスが初の試み、サプライヤーに「再エネ100%」呼びかけのワケ

積水ハウスはサプライヤー(調達先)に対し、温室効果ガス排出削減目標の設定や再生可能エネルギーの導入を呼びかける。非政府組織(NGO)が主導する国際的な活動「サイエンス・ベースド・ターゲッツ(SBT)」の認定取得と、事業で使用する電気の再生エネ100%を求めるもので、国内において調達先にこの両方を推奨する企業は初めてとみられる。

積水ハウスは温暖化対策の国際ルール「パリ協定」達成に必要な水準の取り組みを推奨し、サプライチェーン(供給網)全体を脱炭素化する。政府が2050年までの排出実質ゼロを掲げたことで、日本企業にも調達先に脱炭素化を働きかける動きが広がりそうだ。

温室効果ガス削減はSBT認定を取得できる目標策定を呼びかける。SBTはパリ協定の達成で要求される削減ペースと合致した企業の目標を認定。積水ハウスも30年までに13年比50%削減する目標で認定を受けた。

同社によると主要な調達先85社中12社がSBTの認定取得済み。未認定の調達先には目標設定の方法などを助言する。今後、50年排出ゼロに向けて企業にも厳しい温暖化対策が求められる可能性があり、同社は調達先にも高い目標を掲げてもらうことでサプライチェーン全体として対策で先行する。

事業で使う電気100%を再生エネ化する目標策定も働きかける。すでに取引先4社が再生エネ100%での事業運営を目指す国際組織「RE100」に加盟していた。積水ハウスも参加しており、調達先に100%宣言のためのノウハウを提供する。

同社の調達先でSBT認定と再生エネ100%の両方を満たすのはパナソニック積水化学工業、LIXILの3社のみ。

海外では米アップルが30年までにサプライチェーンの再生エネ100%化を目指している。また、米マイクロソフトは調達先に排出削減計画の提出を求めるなど、米巨大企業はサプライチェーンへの働きかけを活発化している。

日刊工業新聞2020年11月11日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
いよいよ日刊工業新聞でも脱炭素経営の記事を1面トップで掲載しました。早速、読者から問い合わせもありました。「パリ協定に貢献」「脱炭素社会に貢献」と宣言する企業が増えていますが、次はどうやって実現するのかが問われると思います。具体策を示すと本気とわかります。サプライチェーン全体で先手を打つと、競争力も高まるはずです。

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