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積水ハウスが“地元産”住宅を提案、国産木材の地域ブランドで

森林資源の有効活用と地方創生を後押し
積水ハウスが“地元産”住宅を提案、国産木材の地域ブランドで

国産木材の地域ブランドを立ち上げ、利用拡大を後押しする

積水ハウスは沖縄県を除く46都道府県で、一戸建て住宅に用いる国産木材の地域ブランドを立ち上げる。“地元産”の杉やカラマツ、ヒノキを柱や梁(はり)に使った住宅を提案し、その付加価値を訴求。林産地とも連携し、森林資源の有効活用と地方創生を後押しする。木造住宅「シャーウッド」と鉄骨住宅を合わせ、同社の住宅における国産材の採用比率を中長期で足元の12%から50%に高める。

積水ハウスは2016年に、全国で厳選した木材を地域ブランドとして打ち出す取り組みを始動。現在は北海道や岐阜県など15地域で道産カラマツや木曽ヒノキ、美作ヒノキ、吉野杉といった16ブランドを展開する。さらに広範囲の林産地から良質な木材を選出。合板や下地材、建具など従来の用途だけでなく、柱や梁などの構造材にも積極的に採用することで国産木材の比率を伸ばす。

国産木材は輸入材に比べ顧客のコスト負担が増すものの、同社が独自の基準で選ぶことで優れた強度と品質を保証。住まいに近い産地から運ぶという価値も強調する。

安定した需要があるが価格が安い下地材など見えない用途と、高価格でも需要規模を拡大しにくい建具のような見える用途に次ぐ“柱”とし、ブランド化に伴う高価格化と一定の需要確保が見込める構造材向けの用途を確立する。

積水ハウスは国産木材の採用比率を伸ばそうと、国産杉を混ぜた合板を使ったり高いブランド力がある国産材を構造材に用いたりする施策を実行。木材の歴史や特徴を学ぶ社員研修も始め、05年に0・04%だった採用比率を18年に12%まで伸ばした実績を持つ。

戦後に植林され伐採期にある国内の杉やヒノキの“出口”を広げることで「森林の次のサイクルを促す」(同社)効果も見込んでいる。

日刊工業新聞2020年4月22日

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