ファウンドリーが半導体製造装置の需要をけん引、TSMCは想定上回る

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TSMCの生産工程(同社公式ページより)

「5G」中期も強気

半導体製造装置市場の活況が続いている。第5世代通信(5G)向けなどを中心にファウンドリー(半導体受託製造)やロジック、メモリーなどと半導体需要がそろって旺盛だからだ。コロナ禍に加えて米中貿易摩擦の今後の行方が不安材料となるが、装置各社は足元だけでなく中期的にも強気の姿勢を示す。

「5G向けインフラに伴うロジック、ファウンドリー向けの投資が伸びる」。東京エレクトロンの河合利樹社長は、2021、22年の半導体前工程製造装置(WFE)市場の景況感をこう語る。

20年の同市場は前年比10%超の成長により過去最高の見通し。ロジック、ファウンドリーが高水準で推移するほか、NAND型フラッシュメモリーなど不揮発性メモリーも前年比50%増になると予想する。その上で、21、22年は20年をさらに上回り「ビッグイヤーズになる」(河合社長)という。同社は、一部顧客の投資計画前倒しで4―9月期の売上高が予想を上回り、21年3月期の半導体製造装置事業(SPE)売上高を6月公表比200億円増の1兆2200億円に上方修正した。

SCREENホールディングス(HD)の近藤洋一最高財務責任者(CFO)も「5Gや人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)関係の需要拡大に加えて、リモートワークの急増に伴う需要増を背景に設備投資が増加している」と分析する。

実際、ファウンドリーなど半導体メーカーの業績は好調だ。台湾TSMCは、20年通期の売上高を従来予測の前年比20%超増から同30%増へ上方修正。5Gスマートフォンやサーバー向け半導体の旺盛な需要を見込んで設備投資を加速する。韓国サムスン電子も、スマホ販売拡大などが寄与し、20年7―9月期の半導体部門の営業利益が前年同期比82%増の5兆5400億ウォンへと大きく伸びた。

後工程市場も堅調に推移する見通しだ。米中貿易摩擦の不透明感などで一時投資判断を遅らせていた、台湾や中国などの半導体後工程請負業(OSAT)も、投資意欲が回復基調にあるもよう。

アドバンテストは、ロジック向け試験装置事業の21年3月期売上高を7月公表比から130億円増の1170億円に上方修正した。半導体ウエハーの切断・研磨装置などを手がけるディスコも「10月に入り、2カ月ぶりに工場のフル稼働が続いている」(同社IR室)。アドバンテストの吉田芳明社長は「米中対立の余波として、中国スマホ大手が占めていたポジションをめぐる動きが生じている」と、下期にかけてスマホプレーヤー間で激しさを増す主導権争いにも注目する。

ただ、不安材料も残る。米中貿易摩擦の激化が半導体市場に影を落としているからだ。米国商務省は9月、米国企業などがファウンドリー大手の中国SMIC(中芯国際集成電路製造)に半導体製造装置などを輸出する場合に、同省の事前許可を得るように求めた。現状日本の装置メーカーへの影響は顕在化していないようだが、規制強化が進めば市場に水を差しかねない。

それでも、東京エレクトロンの河合社長は21年以降のWFE市場について「コロナや地政学リスク、大統領選挙など注視するファクターはあるが、それらを勘案しても今年を上回る」と予想する。市場全体では中長期で成長が期待できそうだ。

日刊工業新聞2020年11月2日

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