サブスク型の空調サービス、病院・介護施設を狙うワケ
エアアズアサービス(東京都墨田区、大下泰典社長、03・6823・4566)は、三井物産とダイキンエアテクノ(同墨田区)の共同出資会社でサブスクリプション(定額制)の空調サービスを提供する。ユーザーは契約期間中は月額料金が固定されており、導入時の初期費用やメンテナンスによる追加費用がかからずに済む。
エアアズアサービスは導入先の施設に最適な機器の選定や維持管理、運用をパッケージ提案する。ダイキン製機器の遠隔監視により空調機の稼働状況を分析。故障の兆候を検知して事前にメンテナンスすることで、空調の停止を回避する。大下社長は「病院や介護施設などは空調の故障や停止は大きな事業経営リスクになる。実際にユーザーの約6割は病院や介護施設が占めている」と話す。
空調機は導入から10年程度では故障しないのが一般的だ。しかし定額制サービスを導入した、ぶどうの木クリニック(佐賀市)では夏場にエアコンの効き目が悪いという事態が起こっていた。そのため故障を未然に防げることや、データに基づいた省エネが期待できる点に着目し、サービス導入を決めた。
出資元である三井物産との連携も強化している。今春から国内にある同社の各支社に担当者を配置することを決めた。給食事業やリース事業など他の関係会社との販売ネットワークを活用し、相乗効果につなげる。
同社のICT事業本部インターネットサービス事業部の福本俊明次長は「エアアズアサービスは空調のプロ集団であるダイキングループと共同でゼロから立ち上げて進めてきた。コロナ禍で空気に対する意識が高まっている状況下において、サービスを通じて安心・安全を届けたい」と意欲を見せる。
定額制サービスは音楽や動画配信などを中心に広がってきた。今後は医療・福祉施設を中心に、快適な空間を長期にわたり提供する定額制の空調サービスとして普及を目指す。(浅海宏規)