35年にガソリン車を全廃する中国。トヨタ・ホンダ・日産はどうする?
問われる新エネ車戦略
中国政府は2035年をめどに新車販売のすべてを環境対応車にする方針を示した。50%を電気自動車(EV)などの新エネルギー車とし、残りの50%をハイブリッド車(HV)にする。ガソリンエンジン車は市場で販売できなくなる可能性が高いと見られる。HVに強みを持つ日系各社にとって、新エネ車開発などとのバランスを取る難しいかじ取りが求められそうだ。(西沢亮、名古屋編集委員・長塚崇寛)
日本メーカー、動向注視
世界最大の自動車市場で、二酸化炭素(CO2)排出国でもある中国が、環境対応で大胆な方針転換を図る。加藤勝信官房長官は28日の会見で、中国のエンジニア学会が新車販売を35年までにすべて環境対応車とする方針を示したことについて「中国は年間約2600万台の新車が販売される世界最大の市場で、日本の自動車メーカーにとっても重要だ。こうした規制を含めその動向をしっかり注視していかなければならない」と指摘した。
今回の規制で日系各社にとってはHVの拡販が見込まれる。トヨタ自動車は9月に中国のHVの累計販売台数が100万台を突破し、ホンダも10月に同販売台数が30万台を超えたことを明らかにした。HV市場の拡大が期待され、豊富な品ぞろえや販売実績は追い風になると見られる。
各社はHVやEVなど電動車の開発や販売にも力を入れる。日産自動車は21年にスポーツ多目的車(SUV)型の旗艦EV「アリア」の発売を予定。25年までに独自のハイブリッドシステム「eパワー」を搭載したHVなど9車種の電動車の投入を計画する。ホンダは21年年初に中国初となるSUV型のプラグインハイブリッド車(PHV)「CR―V PHEV」の発売を予定する。トヨタは4月に中国で小型SUV「C―HR/イゾア」や高級車ブランド「レクサス」のEVを相次ぎ投入。C―HRなどを皮切りに、20年代前半に世界で10車種以上のEVを販売する。
生産ではトヨタが数年内に天津市でEVなど環境対応車を生産する新工場の稼働を計画する。日産も21年に湖北省武漢市と江蘇省常州市の関連工場で生産能力を増強。23年度までに中国販売に占める電動車の比率を23%に引き上げる目標を示しており、こうした車両の生産も見込まれる。
一方、中国市場でシェアの高い日米欧の各社にとって、販売の大半を占めるガソリンエンジン車の段階的な事業縮小が課題になりそうだ。エンジンも含めて現地生産しており、35年のガソリン車全廃に向け、生産や車種選定など中国事業をどう転換していくかが問われる。