電動車の命運握る電池、トヨタの安定調達とコスト削減への執念がスゴい!

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高級車ブランド「レクサス」にも初のEVを設定した

トヨタ自動車が電動車の普及拡大を踏まえ、車載電池の安定調達に向けた動きを加速している。4月にパナソニックと共同で電池の製造子会社を新設したほか、複数の中国メーカーと電池供給を含めた提携関係を構築し、社内外で調達網の整備を推進。4月から順次、中国や欧州で電気自動車(EV)を初投入するなど、電動車戦略は新たなフェーズに突入した。電池調達の巧拙が電動車の安定供給に直結するだけに、調達網の地盤固めに余念がない。

世界で環境規制が厳格化しており、英国は2035年にガソリン車などの販売を禁止する方針。中国でも一定比率でEVなど新エネルギー車(NEV)の販売を義務付けている。各国の規制に合わせ、最適な電動車を供給する戦略に軸足を置いてきたトヨタ。今年度から本格投入したEV向けを含め、電池調達を万全にする。

SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは「完成車各社が大量の電池が必要なEVに注力し始め、長期的に電池の取り合いは必至」と指摘する。EV需要に柔軟に対応し、大量かつ低コストで電池を確保できる調達力が各社の競争力を決める。

トヨタの電池調達の一翼を担うのが新会社、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES、東京都中央区)だ。PPESはパナソニックの角形電池事業を引き継ぎ、トヨタが51%を出資する。ハイブリッド車(HV)向けやEV向けリチウムイオン電池を手がける。トヨタの電池製造子会社であるプライムアースEVエナジー(静岡県湖西市)や豊田自動織機とともに、トヨタの電動車生産を支える。

PPESは国内5カ所、中国1カ所の電池工場を持ち、トヨタ主導で生産改善を進めている。EVは電池コストが全体の3割を占めると言われ、電池価格の低減が不可欠。PPESはトヨタ生産方式の導入などで「設計や生産準備などの生産性を10倍にし、コスト競争力の向上を目指す」(好田博昭PPES社長)考え。

好田社長は電池事業の課題について「先行投資が大きく、自動車の約4倍の固定費負担がある」とし、「サプライチェーンを含めた原価低減が必要」と強調する。例えば電池の主要原料であるリチウムなどでは、採掘現場に出向き生産改善を支援。「サプライヤーの損益分岐点を下げることで原価を抑える」(同)構えだ。

生産ラインも専用設備ではなく標準品の導入を積極的に進め、投資負担を半減させる方針だ。EV向け電池では競合の後塵(こうじん)を拝すが、生産改善などで「規模やコストで先行する競合をキャッチアップする」(同)としている。

トヨタは国内の調達網を整備すると同時に、海外でも体制固めを加速している。自動車の最大需要地である中国では、最大手の中国寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)と、電池供給で業務提携を締結。トヨタ幹部は「供給先や航続距離、車両の要件などに合わせ、車種ごとに適正な電池を利用する」と、電池調達でも全方位のかじ取りを進めていく。


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日刊工業新聞2020年10月28日

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