料金引き下げに突き進む政府、総務省が発表した「アクション・プラン」とは?

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総務相は乗り換えやすい仕組みの重要性を強調した(27日)

総務省は27日、携帯電話料金の引き下げに向けた「アクション・プラン」(行動計画)を公表した。23日に有識者会議が市場競争ルールに関する報告書をまとめたばかりだが、行動計画では報告書に言及されていない施策も盛り込み、携帯電話会社の乗り換えをしやすくして市場競争を促すことに強い意欲を示した。ただ、具体的な進め方は未定の項目もあり、実効性が課題となる。行動計画を受けた携帯通信各社の出方も注目される。(斎藤弘和)

「低廉なサービスの選択肢は存在していたが、乗り換えの際に複雑な手続きやペナルティーなどがあって、自由な選択が阻害されていた。それを取り除けば、相当な効果がある」―。武田良太総務相は27日の閣議後会見で、行動計画の意義をこう述べた。

総務省が行動計画で挙げた具体策の一つが、通信会社を乗り換えた後も従来のメールアドレスを継続利用できる仕組みの検討だ。携帯通信大手各社は独自のメールサービス(キャリアメール)を提供しており、消費者が乗り換えをすると以前のキャリアメールが使えなくなるため、ためらう事例も多いと考えられてきた。

総務省は23日、通信市場の分析などを行う有識者会議「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」での議論に基づく報告書をまとめ、携帯通信会社を変更しても従来の番号を使える同番号移行制度(MNP)の手数料の引き下げを決めた。

一方、キャリアメール継続利用の話は含まれていなかった。21日に公明党が行った携帯料金に関する緊急提言でメールの件に言及されていたことを勘案し、行動計画へ盛り込んだという。

ただ、対話アプリ「LINE」の普及などで通信会社のメールを使わない消費者も多い。MMDLabo(東京都港区)が2019年12月に行った調査では、スマートフォン所有者のうち、1日当たりのキャリアメール利用が0回の人は59・0%だった。メールアドレスの維持が乗り換え促進の切り札になるとまでは言いにくいかもしれない。

WG構成員を務める野村総合研究所の北俊一パートナーは、総務省の姿勢を「市場の流動性を高めるために打てる手は全部打つ、との意気込みは分かる」と評価。その上で「MNP手数料の原則無料化しかりメールアドレスの持ち運びしかり、利用者のニーズの定量的把握や費用対効果をしっかり検証した上で政策に反映していただきたい」と注文した。

総務省もメールに関しては「具体的な実現方策は検討しないといけない」(料金サービス課)としており、今後、実効性を発揮していけるかが問われる。

とはいえ今回の行動計画は、携帯通信各社にとって強い圧力になる。総務省は今後の電波の割り当ての際、各社が行動計画に即した取り組みをしているか検証する方針も示した。不十分な会社は、割り当てで不利になる可能性が示唆された形と言える。各社は近々に料金を引き下げたとしても、気の抜けない日々が続きそうだ。

日刊工業新聞2020年10月28日

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