北海道を自動運転の開発拠点に! 産学官が連携して気候の特徴を活用
自動運転開発 道が一元窓口
北海道は積雪寒冷地など特徴を生かした自動運転技術の実証実験地として、じわりと存在感を増している。北海道が一元的な窓口となって手続きやニーズに合った道路の情報などで支援し、実証実験は約4年間で70件以上を道内で実施した。一定の成果を残してきたが、これを次なる成長につなげるには、北海道発で実用化に結びつけることが欠かせない。自動運転に関する先進開発拠点としての飛躍が期待されている。
北海道は広大な土地や積雪などさまざまな道路状況で実証できることから、全国最多28のテストコースが立地する。その特徴を生かそうと道内の産学官が連携し、2016年6月に「北海道自動車安全技術検討会議」を設置した。
北海道が一元的な受付窓口となり、道内での自動運転の実証実験などを支援する。公道実験に関する手続きの負担軽減やニーズに対応した道路に関する情報をデータベースでとりまとめて提供する。ワンストップ窓口の利用は20年3月末時点で計248件。そのうち延べ72件の自動運転の実証実験を実施した。12月―3月の冬季の冬道を使った試験も29件あった。
例えば、物流のドライバー不足対策としてUDトラックスの例がある。19年8月に北海道斜里町内の製糖工場で大型トラックを使った自動運転「レベル4」の実証実験を実施した。一部公道も走行した。これも北海道のワンストップ窓口がきっかけとなり実現にこぎつけた。
また、北海道大学の江丸貴紀准教授とヴィッツ(名古屋市中区)などは経済産業省の17年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)に採択され、積雪地での自動運転技術開発を実施。北海道は実証実験地の紹介などを支援した。
北海道経済部産業振興局の佐藤秀行産業振興課長は「(実証実験地として)徐々に広がっている」と一定の手応えを示す。一方で、実証実験地にとどまらず、いかに実用化の事例を作り出せるかが道内の活性化に向けて重要と捉える。
今後、自動運転の冬道での本格的な実用化を目指し、北海道に適した自動運転システムのあり方や普及への課題を洗い出す検討会を立ち上げる計画だ。道内企業の自動運転関連事業への参入を促すため、最新技術の動向や道内企業の保有技術を調査する予定。
北海道は少子高齢化が全国平均を上回るペースで進み、高齢者らの移動弱者が多い。自動運転はそうした社会課題の解決にも資するとみている。「支援体制をさらに充実させ、北海道を自動運転開発の先進拠点にしたい」(佐藤課長)と将来の北海道の姿を見据えている。