UD買収越年・ボルボ提携遅れ、いすゞの協業戦略はどうなるか?
いすゞ自動車によるスウェーデン・ボルボグループ傘下のUDトラックスの買収時期をめぐり、当初予定していた12月末までの完了が難しく2021年に越年する見通しであることが分かった。新型コロナウイルスの影響で海外の競争当局の審査が滞っていることなどが背景。21年3月末までの買収完了を目指す。いすゞとボルボの提携契約の締結も遅れており、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域などの協業戦略にも影響しそうだ。
いすゞとボルボは19年に商用車分野で包括提携することで合意。その一環でいすゞはUDの全株式とUDブランドで展開する海外事業を20年内に取得する計画だった。しかし新型コロナの世界的流行で競争当局の審査のほか、移動制限でUDのデューデリジェンス(資産査定)も遅れている。関係筋によると12月末までの取得完了が厳しい。いすゞはUDの事業価値を約2500億円と見積もっているが、具体的な取得価格は詰めている最中。
中小型トラックを得意とするいすゞは、UD買収で大型トラックの商品群を補完し、日本やアジアを中心とした大型トラック事業の強化を狙う。普通トラック(積載量4トン以上の大型と中型トラック)の国内販売シェアの2社合計で、日野自動車を抜き1位に躍り出る。19年度のシェアは日野自が約39%に対して、いすゞは約33%、UDは約11%だった。
いすゞとボルボの具体的な協業内容に関する交渉もコロナ禍で遅れている。ただし提携方針には変更はない模様だ。両社は開発競争が激化するCASE技術などのほか、中小型トラックでの幅広い協業も視野に入れる。
日刊工業新聞2020年10月16日