「ルイ・ヴィトン」AIで真贋判定、コメ兵がシステム導入
AIが偽物を見抜きます―。コメ兵はブランド品買い取り時の査定業務に人工知能(AI)が真贋(しんがん)と型番を判定するシステム「AI真贋」を導入し、名古屋本店(名古屋市中区)で運用を始めた。査定業務の効率化のほか、鑑定士の育成期間短縮を図る。対応ブランドは当初「ルイ・ヴィトン」のみで今後、導入店舗と併せて順次拡大する。
AI真贋はマイクロスコープでブランド品のロゴや素材を撮影。コメ兵が買い取る年間160万点にも及ぶ膨大な商品データを学習したAIが真贋を判定する。判定精度は99%を誇る。
近年、偽ブランド品の流通量の増加とともに「模造のレベルも急激に高まっている」(山内祐也執行役員)。精巧な偽物となると経験の浅い鑑定士だと判定に15分以上の時間がかかるという。品物を凝視する時間が長くなるほど「お客さまに不安感や不快感を抱かせてしまう」(同)。AI真贋は、そんな高度な偽物でも数分で判定でき、鑑定士は負荷が軽減した分を接客に充てることができるようになる。
コメ兵の鑑定士は真贋判定のほか型番特定、状態チェック、金額算出といった査定業務を一貫して担う。育成には時間を要し「一人前になるのに3年程度はかかる」(同)。AI真贋の導入によって鑑定士が記憶すべき情報量が減り育成期間の短縮が図れる。これを今後の重要な成長戦略である海外展開のスピード向上にも生かす。
ただ、当面はシステムの使用を10年以上のベテラン鑑定士に限定する。不具合や改善点を見つけたら、すぐにフィードバックする。山内執行役員は「ここからがスタート」とし、継続的なAI真贋の機能拡張を進める。
日刊工業新聞2020年9月28日