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開発依頼が急増の「スパースモデリング」活用AI、そのニーズとは?

少ないデータから特徴的な部分を抽出する「スパースモデリング」を活用した人工知能(AI)を開発するHACARUS(ハカルス、京都市中京区)。「医療・産業向けともに5月後半ごろから開発依頼が急増している」(藤原社長)。需要の背景と顧客ニーズに対応するための開発体制を藤原社長に聞いた。(大阪・坂田弓子)

―大学や企業とAIの共同研究・開発が進んでいます<

「神戸大学とは幹細胞がんの磁気共鳴断層撮影装置(MRI)画像解析と診断、京都大学とは子宮頸(けい)がんの予防・早期診断の共同研究。大阪ガスとは地中の導管の探査・判定を進めている。加えて新型コロナウイルス感染症でデジタル変革(DX)の必要性が高まり、AI需要増に拍車がかかった」

―ニーズの背景は。<

「病院では経過観察しなければいけない患者が通院できず、遠隔治療や診断効率化が求められる。物流は人手不足だった環境に物流量増が加わり、配送ルートや倉庫内ピッキングの効率化の必要性がより高まった。また、テレワーク推進の流れで、製造現場で人が行っていた部品の品質判定をAIに置き換える機運が高まっている」

―スパースモデリングを活用したAIの特徴を教えて下さい

「データ種にもよるが、100分の1、1000分の1程度のデータで、ディープラーニングを基にしたAIと同等の解が出せる。開発依頼が増えている背景には、全ての企業がデータ蓄積など準備をしているわけではない状況でコロナが拡大し、AI導入が早まっていることもある」

―開発体制は。

「正社員と京都大学を中心とする周辺大学の学生アルバイトを含め56人。情報工学専攻者だけでなく、統計学や経済、医学部など必要な知識を持つ人を集め、チームで顧客の課題解決にあたっている。AIプログラマーと顧客の業界を知る人員がそろうことで“実際に現場で使える”AIができる」

―人材をどう育成していますか。

「医療向けAI開発では人材育成プログラムを自社開発して活用している。同プログラムは病院などに提供している。顧客の理解が深まればより連携がしやすく、高いレベルでソリューションを提供できる。社会に貢献できる機会を逃さず、結果を出していきたい」

【ポイント/採用拡大、人に投資】

医療・産業分野での現場の危機感は強く、AIへの期待が高まっている。急増するニーズへの対応のカギを握るのは人材だ。藤原社長は「AI開発は資材を調達したり、設備投資したりするビジネスではないので投資は全て人」とし、採用拡大と人材育成に意欲を見せる。自社の使命は「地球上の全ての人を120歳までお連れする」。スパースモデリングを活用した「現場で使える」AIを普及することで、社会変革を進める。

HACARUS 藤原健真社長

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