日本籍客船の国内クルーズ11月再開、「GoTo」の対象にも

新型コロナの予防対策、万全を期す

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1月のリニューアル後、初のクルーズ催行が決まった郵船クルーズ「飛鳥II」

日本籍客船による国内クルーズが11月に再開する。新型コロナウイルス感染症の影響で運航できない状態が続いていたが、業界団体による感染予防対策のガイドラインが整い、再開への道が開けた。当面は日本近海のショートクルーズに限定して定員を抑えて運航。感染拡大初期に外国籍クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で発生した集団感染のイメージを払拭(ふっしょく)するためにも、安全・安心に最大限配慮して再出航を準備する。

日本籍客船は、郵船クルーズ「飛鳥II」、商船三井客船「にっぽん丸」、日本クルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」の3隻。3社が加盟する日本外航客船協会(JOPA)は18日付で国土交通省監修の下、クルーズ船事業者に特化したガイドラインを策定した。

ガイドラインでは船内における乗客・乗組員のマスク着用やソーシャルディスタンスの確保、感染者発生時の対応などを規定。クルーズ各社はそれぞれ、ガイドラインに準拠した安全に関する手順書を整えて、日本海事協会から審査、認証を受けることになる。

すでに郵船クルーズは独自の感染症対策プランについて認証を受けたほか、寄港地との調整も終えた。10月下旬にトライアル航海を行い、11月2日の横浜発着3泊4日の航海から再開する。23日には旅行会社で2021年1月出発までのクルーズの販売も始めた。商船三井客船と日本クルーズ客船も、11月中の再開を目指し、体制を整える方針だ。

先行する郵船クルーズでは「安全安心のためにできることはすべてやろう」(坂本深社長)との考えから、ガイドラインよりも厳格な予防対策を講じた。乗客には、乗船1週間前に唾液を送付する遠隔PCR検査を義務付ける。検査費用はツアー代金に含まれる。

乗組員には乗船前の自主隔離やPCR検査を実施。担当別に船内の居住エリアを分けるほか、客室として使っていない個室を居室とする。さらに、神奈川県と理化学研究所が共同開発した新型コロナの迅速な検出技術「スマートアンプ法」の検査機3セットを船内に搭載。専門の技師や看護師も乗船させ、定期的な乗員の検査のほか、具合の悪くなった乗客の検査などに活用を想定する。

クルーズ船はシニア層を中心にファンが多い。感染した際のリスクが高い客層だけに、万全な安全対策が運航再開の大前提となる。コロナ前の市場は拡大傾向にあり、旅行会社もクルーズ専用店の開設などを進めてきた。クルーズ商品は官民一体型の旅行需要喚起策「GoToトラベル」の補助対象にもなる。

一方で外洋を航海する、目的地が海外のクルーズは再開のめどが立っていない。新型コロナ対策で依然として各国の入国規制が厳しいため、海外に寄港する必要がある外国籍船の日本発着クルーズは当面、難しい状況だ。

(取材・小林広幸)

日刊工業新聞2020年9月24日

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