ルミナスクルーズの倒産、これから何社が同じ憂き目に遭うのだろうか
この先、何社が同じ憂き目に遭うのだろう。観光クルーズ船運航のルミナスクルーズが、2日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請した。2020年1月、中国・武漢で発生して以降、今やアジアのみならず、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの余波にのみ込まれ、破綻に追い込まれた。
08年1月にグループ会社よりクルーズ船運航事業を引き継いだ同社は、神戸港メリケンパーク中突堤を発着点に、観光船「ルミナス神戸2」による明石海峡大橋周遊、大阪湾周遊、神戸空港沖周遊などクルージングとランチからウエディングまで対応する船内レストラン事業を手がけ、港町・神戸の観光を支えるキーファクターとして10年以上その責を担ってきた。
しかし、外観の華やかさとは裏腹に個人消費停滞の環境にあってディナー・ウエディングなどの需要が伸び悩み、食料品など原材料費や燃料費上昇などから業績は年々厳しさを増し、17年5月期末時点で債務超過状態となっていた。
その後、18年6月の大阪府北部地震、7月の豪雨や9月の台風21号による被害などの影響により、19年5月期には年売上高が10%近く落ち込み、営業損益段階から赤字に転落。今期に入ってからも秋口には台風による運航中止が出たほか、燃料費高騰で厳しい収益状況が続くなか、20年2月以降は新型コロナウイルスによる大規模感染が問題となった大型豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」の影響もあって当クルーズ船の予約キャンセルが相次ぎ、急速に資金繰りが悪化。
このため従前からM&A(合併・買収)交渉を続けていた企業をスポンサーにしたプレパッケージ型の民事再生法を選択し、2日に慌ただしく裁判所に駆け込んだ。
世界中をむしばむ新型コロナウイルスは、世界経済にブラックマンデーやリーマン・ショック級のダメージを与えると予測されている。ここから先は体力勝負になる。誰が生き残り、誰が脱落するのだろうか。
(文=帝国データバンク情報部)