無人運航船の実用化へ。世界に先駆けた実証実験が動き出す

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運航実験は実際の航路で行われる

日本財団(東京都港区、笹川陽平会長、03・6229・5111)は、2025年までに無人運航船の実用化を目指し、世界に先駆けて実際の航路を使った無人運航船の実証実験に乗り出す。具体的には海運、造船のほか、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を手がける企業、自治体など40以上の企業・団体が参加する五つのコンソーシアムに対して費用の80%を支援し、大型船を用いて船舶の往来が多い海域での無人運航による長距離航行実験を行う。海洋立国の日本では官民挙げて無人運航船の実用化を進めており強力に後押しする。

日本財団は18、19年に「船舶の無人化による将来の日本社会と期待される効果について」の有識者委員会を開催し、19年4月に「40年には国内を航行する船の50%以上が無人運航船となり、無人運航船がもたらす経済効果は約1兆円になる」という試算を発表した。日本郵船、商船三井などの海運大手と造船各社は、自律運航や遠隔操船、衝突回避など自動運航に向けた技術開発を進めている。

また国土交通省は16年から海事生産性革命「i−Shipping」を進め、海事産業における国際競争力の強化に乗り出している。その中でIoT(モノのインターネット)技術などを駆使した自動運航船への開発支援も始めた。さらに19年4月には遠隔から操縦可能な小型船舶の運航マニュアルを作成し、これに沿った無人運航を可能とするなど官民挙げて自動運航船、無人運航船を推進する流れにある。

海外では北欧中心に研究が進められており、18年にはフィンランド国営フェリーと英ロールスロイスが共同で、短距離フェリーの完全自律運航の実証実験を成功させた。今回の運航実験は大型フェリーやコンテナ船、旅客船などを用いて実際の航路で行うもので、世界でも例がない。この運航において得られたデータは公開する方針で、成功すれば25年の無人運航船の実用化に一歩近づく。

日刊工業新聞2020年6月11日

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