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国産トラック第1号に出会う、ホイールにはカシの木を使用

日野自動車 日野オートプラザ(東京都八王子市)
国産トラック第1号に出会う、ホイールにはカシの木を使用

国内初の量産型トラック「TGE―A型トラック」(複製)

日野自動車の歴史と歴代の代表的な車両を展示する「日野オートプラザ」。エントランスホールには前身の東京瓦斯工業が設立された1910年(明43)から現在までの会社の動きを振り返る大きな年表がある。通路を挟み、向かい側にあるのが国産初の量産型トラック「TGE―A型トラック」(複製)だ。

17年に独自設計して開発し、翌年に生産を始めた。TGEは当時、東京瓦斯工業から改称した東京瓦斯電気工業の英語表記が由来。ホイールには硬いカシの木を使用。アセチレンガス式のヘッドライトと、当然ながら時代を感じさせる。ただ、「機構的に見ると、今の技術とあまり変わらないですよ」と話すのはオートプラザ解説員の夏目進氏。エンジンやトランスミッションなどの基本技術は同じだ。地域のイベントで一度、実際に走らせたこともある。

1階には真ん中にボンネットバスが鎮座。その周りを車両やエンジンが取り囲む。日野自は60年代後半にトラックとバスに専念するまで乗用車も手がけた。53年に仏ルノー公団と技術提携して生産したのが小型車「日野ルノー4CV」だ。

1階展示フロアではボンネットバスの周りを車両やエンジンが取り囲む

61年には同社独自のタクシー向け「コンテッサ900」を投入。「当時、同車のタクシーに乗車した経験がある」と夏目氏。デザイン性の高い「コンテッサ1300クーペ」は65―67年に生産した。今でも愛好家が走らせているという。

屋外には91年に世界で初めて発売したハイブリッドバスを展示。世界で最も過酷とされるダカールラリーで96年に優勝した「日野レンジャー」もある。「“世界一”が大好きな会社」(夏目氏)を象徴する1台だ。

オートプラザは97年に開設した。現在は年間2万5000人が訪れる。うち半数は幼児のいる家族連れだ。現在は新型コロナウイルスの影響で難しいが、ラジコンなどを使った子ども向けの催しも開く。地域との交流の場として、従業員が日野自の未来を考える場としての役割を担う。

※新型コロナ感染拡大防止のため、当面は事前予約が必要

【メモ】▽開館時間=10―16時▽休館日=新型コロナ感染拡大防止のため9月末まで土・日・祝日▽入館料=無料▽最寄り駅=JR中央線「八王子駅」「西八王子駅」、JR横浜線「八王子みなみ野駅」、京王線「めじろ台駅」▽住所=東京都八王子市みなみ野5の28の5▽電話番号=042・637・6600

日刊工業新聞2020年9月25日

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