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日野自動車がトラック運送にブロックチェーン導入、荷主のメリットは?

日野自動車の子会社ネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ、東京都新宿区)は、2024年をめどにトラック運送にブロックチェーン(分散型台帳)技術を導入する。保安性が高いブロックチェーン技術を使うことで、物流のデジタル化を後押しする。荷物のトレーサビリティー(履歴管理)が向上するほか、デジタル化でトラックの積載効率を高めることで、トラック運転手の長時間労働の是正にもつながる。

ブロックチェーンとは暗号化技術を使い、取引履歴などの台帳を分散管理・同期することにより情報を改ざんできないことを保証する仕組み。

物流にひも付く情報にブロックチェーン技術を活用する。例えばトラックに載せた荷物の発送時と到着時の情報が一致していることを保証する。運送中に荷物が壊れるようなことがなかったかなど、信頼性の高い情報で荷主や運送事業者に提示できる。保安性の高い技術を使うことで、利活用できる情報も広がると期待される。

NLJは運送事業者や物流システム開発企業、アサヒグループホールディングスや江崎グリコといった荷主企業などと組み、高効率な幹線輸送システムの構築を目指している。専用に開発した全長25メートル級のダブル連結トラックを使い、19年12月から相模原市と兵庫県西宮市間の幹線輸送システムの実証実験を行っている。すでにセンサーを使ったトラック荷室内の「見える化」にも着手。積載効率向上につなげる。

改正労働基準法により24年度から自動車の運転業務に罰則付きの時間外労働の上限規制が適用される。依然としてトラック運転手が不足するなか、運送現場では法規制に対応するため積載効率の底上げなどの施策が急務となっている。

日刊工業新聞2020年6月3日

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